2001 Fiscal Year Annual Research Report
AE測定による静的破砕剤の岩石破壊機構解明と暴発警報装置開発のための基礎検討
Project/Area Number |
13650986
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石田 毅 山口大学, 工学部, 助教授 (10232307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 義明 山口大学, 工学部, 教授 (20107733)
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Keywords | 静的破砕剤 / Acoustic Emission / 岩盤力学 |
Research Abstract |
静的破砕剤の岩石破砕機構を明らかにするため,1辺20cm立方体形状供試体の中央に直径5cmのボーリング孔を穿孔し,これに水を加えた静的破砕剤を充填して,モルタル供試体を破砕する実験を行った.静的破砕剤は,CaO+H_2O=Ca(OH)_2の化学式で表される水和反応に伴う体積膨張によって材料を破砕するもの理解されているが,反応に伴い熱をも発生する.そこで,鉄製パイプの内側にひずみゲージを添付した膨張圧測定用圧力計を設置するとともに熱電対を破砕孔内部に設置し,破砕孔内部の膨張圧と温度の変化を測定した.また供試体表面にAEセンサーを設置し,破砕に伴うAEを測定して震源決定を行った.実験では,膨張圧が12MPa,温度が120℃の値を示した後,巨視的亀裂が発生した.巨視的亀裂発生直前のAE震源は供試体外側に集中し,亀裂は破砕孔からではなく,供試体外側で発生し破砕孔に向って進展する傾向がみられた.このAE震源分布の傾向は,よく似た形状の供試体で破砕孔に膨張圧を加えず熱だけを加えた実験結果と類似していた.そこで,弾性論により膨張圧と熱応力の影響検討したところ,亀裂が供試体の外側から進展することは膨張圧の作用では説明できず熱応力の作用によることが明らかとなった.静的破砕剤の破砕効果として熱応力の影響に着目した研究はいままでほとんどないため,来年度は供試体内部の温度分布を詳しく実測して熱応力の影響をさらに詳しく検討する予定である.また,現場の実務では破砕対象の岩盤やコンクリートの既存の亀裂が含まれている場合も多いと思われ,このような場合の破砕には膨張圧が大きな影響を与えるものと思われる.このような既存亀裂を含んだ材料の破砕を模擬した実験も行い,破砕機構を解明していきたいと考えている.
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