2001 Fiscal Year Annual Research Report
バラ切り花の季節間および品種間の吸水と蒸散量の違いと花持ちの関係の究明
Project/Area Number |
13660025
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大川 清 静岡大学, 農学部, 教授 (60185204)
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Keywords | バラ / 切り花 / ベントネック / 水揚げ / 水分バランス / 吸水 / 蒸散 / 花持ち |
Research Abstract |
バラ切り花の吸水と蒸散の水分バランスは栽培中や収穫後の湿度条件によって変化し、花持ちに影響を及ぼす。本研究では、'Asami Red'と'Tineke'の切り花を異なる時期に収穫し、花持ちおよび吸水、蒸散、水分バランス、ならびにRNA-Ag+tris前処理効果の季節間および品種間の差異を調べ、収穫後の湿度の影響の面から検討した。さらに、冬期にしばしば発生する'Asami Red'のBrittle leafと栽培中の湿度との関係、ならびにBrittle leafが発生する切り花の花持ちおよび蒸散に及ぼす前処理剤の影響を調べるとともに、6品種を用いてBrittle leafの発生と花持ち、蒸散との関係を調べ、品種間の差異を明らかにした。 'Asami Red'では、秋から冬にかけて吸水量以上に蒸散量が増加したため、水分バランスが悪化し、花持ちが短くなった。蒸散量の増加は収穫後の相対湿度の低下によるものであり、小葉の水分損失量の増加と関係していた。一方、'Tineke'では、秋から冬にかけて吸水量と蒸散量は増加したが、花持ちは'Asami Red'ほど低下せず、全ての時期において吸水は蒸散を上回った。また、小葉の水分損失量は年間を通して一定で、秋から冬にかけての蒸散の増加は収穫後の湿度の低下よりも葉面積の増加に起因した。RNA-Ag+tris処理によって、両品種の花持ちは全ての収穫時期において増加した。'Asami Red'では、特に秋から春にかけて花持ち延長の効果が高く、ベントネックの発生が顕著に抑制された。同時期の花持ちに対するRNA-Ag+tris処理の効果は'Tineke'よりも'Asami Red'で高かった。 'Asami Red'のBrittle leafは栽培中の相対湿度が高くなる11月から発生し始め、その発生率は葉の成長の初期段階における湿度が高いことと関係した。Brittle leafが発生する切り花の蒸散量は高く、早期に水分バランスがくずれ、花持ちが著しく短くなった。Brittle leafは第3節以下の下位節の葉において発生することが明らかになり、第3節以下の葉を除去すると花持ちは長くなった。RNA-Ag+tris処理はBrittle leafからの過度な水分損失を抑制した。Brittle leafを発生する切り花においても、蒸散量を抑制し、生体重と水分バランスを一定に保ち、花持ちを延長した。 冬期における切り花の花持ちおよび水分特性には品種間差異が見られた。最も花持ちが長かった'Jeid'は、葉面積が小さく、Brittle leafの発生はごくわずかで、花持ち期間中の切り花重を高く、蒸散量を低く維持した。一方、最も花持ちが短かった'Black Tea'は、他の品種より切り花の生体重の低下が著しく、水分バランスが早期に悪化した。また、気孔数が少なくBrittle leafは発生しなかったが、他品種よりも気孔の閉鎖が遅かった。気孔が多く葉面積も大きい'Asami Red'では、Brittle leafが多発した。切り花の蒸散量が高まり、花持ちは短くなった。Brittle leafは気孔数の多い品種においてより多く発生したが、切り花の水分バランスや花持ちには気孔数よりも気孔の反応が密接に関与すると推察された。
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