2002 Fiscal Year Annual Research Report
バラ切り花の季節間および品種間の吸水と蒸散量の違いと花持ちの関係の究明
Project/Area Number |
13660025
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大川 清 静岡大学, 農学部, 教授 (60185204)
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Keywords | バラ / 切り花 / 維管束構造 / 水分バランス / 花持ち / 吸水量 / 蒸散量 / ベントネック |
Research Abstract |
6種類のバラの花持ちを測定し、花持ちおよびベントネックの発生に影響を及ぼすと思われる蒸散や維管束構造について調査した。 花持ちが最も長かった品種は'Jeid'で、対照区が24日、メイアップ処理区では28日であり、最も短かった品種は'Tineke'で、対照区が3.9日、メイアップ処理区は3.8日だった。また、'Asami Red','Tineke','Black Tea'でベントネックが多かった。'Pareo90','Jeid'では花弁の褐色が多く、'Dukat'では花弁の萎れが多かった。ベントネックの発生率が高い品種ほど花持ちが短かった。対照区の相対生体重の変化は輸送処理後に増加し、その後緩やかに減少するといったパターンを示したが、'Black Tea'はその減少が著しかった。メイアップ処理区では増加の後に相対生体重は安定した値をとったが、'Black Tea'は緩やかに減少した。吸水量や蒸散量は'Black Tea','Tineke'を除いて対照区のほうがメイアップ処理区よりも大きい値をとった。 収穫後4〜5日の切り花から葉と花を切り離し、水分損失量を測定し、葉の気孔数をスンプ法で測定したところ、小葉の水分損失量は'Pareo90'を除いてメイアップ処理したもののほうが少なく、'Jeid'の対照区が最も多く、'Pareo90'の対照区が最も小さかった。花の水分損失量は'Tineke'を除いてメイアップ処理したもののほうが少なく、'Dukat'の対照区が最も多く、'Asami Red'のメイアップ処理区が最も少なかった。メイアップ処理により小葉および花からの蒸散が抑制された。気孔数には品種間であまり変化しなかった。 切り花の第1節の上部と下部と花首の中央部の横断切片を作り、その切片を光学顕微鏡で観察し、デジタルカメラで撮影した結果、'Jeid','Pareo90'の維管束はきれいに整列しており、第1節の節間の中央部においても比較的整列していた。一方、Tineke','Black Tea'の維管束の整列は悪く第1節の上部ですでに整列が乱れていることがわかった。
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