2002 Fiscal Year Annual Research Report
イチゴマイルドイエローエッジポテックスウイルスの増殖、伝搬機構の解明
Project/Area Number |
13660041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
畑谷 達児 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (20241367)
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Keywords | イチゴ / マイルドイエローエッジ病 / ポテックスウイルス / 細胞間移行タンパク質 / 非AUG翻訳開始 |
Research Abstract |
イチゴマイルドイエローエッジ病の病原ポテックスウイルス(SMYEPV)は他のポテックスウイルスとは異なり、師部伴細胞に局在する。研究代表者は、ポテックスウイルスの細胞間移行に関与するトリプル・ジーン・ブロック(TGB)タンパク質の1つ(TGBp1)の発現が、この局在性に関係しているという仮説をたてた。ポテックスウイルスのTGBp1はORF2から下流のサブジェノミックRNAから発現されることが知られている。そこで、解析した本邦産SMYEPV分離株ゲノムのTGB領域の塩基配列からサブジェノミックプロモーター領域と転写開始部位を推定し、その転写開始部位から推定上のORF2領域を含むRNAをin vitro転写して作製した。この際、RNAの5'末端には転写効率を上げるためにグアニン(G)を2個付加したが、それ以外には余分な配列を含まないようにした。また3'末端側には翻訳産物を同定できるように、推定上の読み枠で6個のヒスチジンを含む11アミノ酸を更にコードする塩基配列を付加した。作製したRNAをコムギ胚芽抽出物またはウサギ網状赤血球ライセート中でin vitro翻訳すると、予測される約27kDaの翻訳産物が特異的に認められた。更に変異を導入した転写RNAを用いてin vitro翻訳実験で解析した結果、先に予想したように、ORF2はCUGコドンで翻訳開始されることが明らかとなった。しかし、その翻訳効率はAUGでの翻訳開始に比べ明らかに低かった。このことから、SMYEPVでは細胞間移行に関わるTGBp1が充分量翻訳されていない可能性が考えられる。 これらの得られた成果を平成15年2月上旬にニュージーランドで行われた国際植物病理学会(ICPP2003)においてポスター発表した。また、東京で行われる平成15年度日本植物病理学会大会において口頭発表(平成15年3月29日)する予定である。
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