2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統学的手法を用いたうどんこ病菌の宿主拡大戦略の解析
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13660047
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高松 進 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20260599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸生 富山県立大学, 短期大学部, 助教授 (20104979)
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Keywords | うどんこ病 / 系統 / 進化 / 塩基配列 / rDNA / ITS |
Research Abstract |
1)うどんこ病菌は広範囲の被子植物に寄生する絶対寄生菌である。核リボソームDNAの塩基配列に基づく系統解析によって、うどんこ病菌は5つの主要な系統群に分かれることが明らかになった。各系統群の特徴は不完全世代である分生子世代の形態と一致し、完全世代である閉子のう殻の形態とは一致しなかった。うどんこ病菌は一般的に木本植物寄生菌が祖先的であり、進化過程において木本から草本への宿主拡大が各系統群内で独立に複数回起こった。この草本への宿主拡大に伴って、付属糸の単純化が複数回にわたって起こった。したがって、菌糸状の単純な形態の付属糸は収斂進化の結果生じたものである。宿主拡大ルートをCystotheca連で詳細に調べた結果、Spheaerotheca属に含まれる2つの節はPodosphaera属から別々に生じたことが明らかになった。Sphaerotheca属Magnicellulatae節はバラ科サクラ属に寄生するPodosphaera属菌に由来し、まずゴマノハグサ科の草本に寄生性を獲得した後、キク科植物に宿主を拡大したと考えられる。キク科内で遺伝的放散をした後、さらに他の植物科に宿主範囲を拡大した。Berbee and Taylor(2001)が報告した分子時計(1.26%/100 myr)によると、ウドンコカビ目とミクソトリクム科の分岐は今から約1億年前に、またウドンコカビ目内での最初の分岐は今から約7千6百万年前に起こったと推察された。 2)Golovinomyces属とその宿主であるキク科の連との系統関係の比較から、Golovinomyces属のキク科への寄生性獲得がキク科が北半球に進出した後、アザミ連が出現するまでの間に起こったと推定された。キク科のrbcLの塩基配列の分子時計に基づき、アザミ連の出現を25.2百万年前と推定した。Golovinomyces属内における最初の分岐を25.2百万年前とおくと、ウドンコカビにおける分子時計は、ITS領域で2.52×10^<-9>per site per year(0.01D=3.97Myr)、28SrDNA領域で6.5× 10^<-10>per site per year(0.01D=15.4Myr)と算定された。
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Research Products
(7 results)