2002 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア産キュウリモザイクウイルスの分子的多様性と環境適応の出現に関する研究
Project/Area Number |
13660057
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
夏秋 啓子 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80164482)
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Keywords | 東南アジア / キュウリモザイクウイルス |
Research Abstract |
昨年度の海外調査に引き続きて行ったタイ国でのキュウリモザイクウイルス発生調査は、コンケン大学農学部の協力を得て平成14年9月に実施した。トマト、バナナ、カボチャ、キュウリ、ヘチマ、スイカなどの各種ウリ科作物を中心にウイルス病様の症状を呈する株を採集して、農林水産省の輸入特別許可を得て輸入し、これを主としてELISA法によって病原の同定を行った。今回の採集では調査地の水害により予定していたトマトのウイルスはほとんど採集できなかったが、ウリ科については複数のウイルス株を分離し、その中に当初の目的であるキュウリモザイクウイルスも含まれていた。しかし、調査した範囲ではそれらの宿主域や病徴で特異な点は認められなかった。なお、合わせてタイ国で未報告のキュウリ緑斑モザイクウイルスを検出した。また、昨年度来継続しているインドネシア産同ウイルスについては、ジャワ島およびバリ島で主としてトマトから採集した合計50株以上の同ウイルスについて、とくに病徴の穏やかな分離株を選択してそれらの二本鎖RNAの解析からサテライトRNAを有する株の検出を行い、一部についてはインドネシアで接種試験を実施中である。一方、比較のために検討した壊疽症状のレースフラワーとモザイク症状株のコリウスのからは日本で未記録の同ウイルスの発生を認めたが、宿主域の特異性はなくいずれも血清型はIであった。これらの採集株の一部について、同ウイルスグループを検出しうるプライマーセットを用いた検出をおこなった。また一部についてCP領域の解析を進めたが、今後は変異の集積の可能性が高い領域に着目して塩基配列の解析を行う必要があることが理解された。
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