2002 Fiscal Year Annual Research Report
鉱さいを活用した持続的かつ環境にやさしい水稲生産技術の開発
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13660061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 豊彰 東北大学, 大学院・農学研究科附属農場, 助教授 (10176349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 正彦 東北大学, 大学院・農学研究科附属農場, 教授 (10005655)
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Keywords | 鉱さい / 酸化鉄 / ケイ素 / メタン放出 / 鉄還元 / アルカリ効果 / 水稲収量 |
Research Abstract |
本年度は,鉱さい資材のメタン放出および水稲収量に対する効果を圃場条件と室内培養で検討した。 1)圃場条件での鉱さい鉄資材の効果の判定 供試した沖積土,黒ボク土(各3土壌)の易還元性酸化鉄(酸性シュウ酸塩可溶鉄)および易分解性有機物(300℃、28日間の無機化窒素)の含量は2.1〜20.3gFe/kg、26〜220mgN/kgと大きく異なった。この枠試験区(作土15cm、27.5cm×27.5cmの枠)を東北大学大学院農学研究科附属農場に設定し、稲わらを添加(500g/m^2)し、鉄資材(マンガン鉱さい、1kg/m^2よびケイ酸資材(シリカゲル、60g/m^2施用した。無処理と比較して鉄資材、シリカゲル処理は、メタン放出量を有意に低下させなかった。水稲の玄米収量は無処理の102〜113%(鉄資材区)、99〜116%(シリカゲル区)を示した。鉱さいのケイ素供給およびアルカリ効果による土壌窒素無機化促進は水稲生産性を向上させた。しかし、供試した鉄資材においては酸化鉄添加による還元抑制効果がアルカリ効果による有機物分解促進効果によって打ち消され、シリカゲル添加はメタンの根圏での酸化(水稲根による酸化)を実質的には上昇させなかったと解釈された。 2.土壌インキュベーション法による多様な鉱さい鉄資材のメタン生成抑制効果の検討 鉱さい鉄資材(市販品11資材)はアルカリ性を示し、湛水培養条件(300℃、28日間)での易還元性鉄供給能は、全く無いものから高いものまで変異が大きかった。シリカゲルはメタン生成に全く影響しなかった。生成した二酸化炭素に対するメタンの比は、二価鉄生成量と有意な負の相関を示し、無処理土壌に比較してすべての鉱さい鉄資材の添加によって有意に低下した。鉱さい鉄資材は土壌のアルカリ性化による有機物の分解促進と酸化鉄供給によるメタン生成抑制のバランスによって、メタン生成抑制効果が決定されることを明らかにした。酸化鉄供給が高い中性資材の開発が必要と考えられた。
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Research Products
(1 results)