2001 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素が高等植物のマンガン耐性向上に果たす役割の解明
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13660068
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
岩崎 貢三 高知大学, 農学部, 助教授 (40193718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 壮太 高知大学, 農学部, 助手 (10304669)
櫻井 克年 高知大学, 農学部, 教授 (90192088)
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Keywords | ケイ素 / マンガン過剰 / アポプラスト / 細胞壁 / 有用元素 / ササゲ / 台木カボチャ / 植物栄養学 |
Research Abstract |
ササゲ及びブルーム型台木カボチャ(新土佐2号)を用いて以下の実験を行った. Si施用あるいは無施用で前栽培したのち,Si存在下あるいは非存在下で過剰のMnを処理する計4処理区((+/+), (+/-), (-/+), (-/-))を設けた.ササゲの場合,各処理区のMn過剰症発生程度(及びアポプラスト溶液のPOD活性)とアポプラスト内Si濃度との間に非常に高い相関性が認められたのに対し,Mn濃度との間には有意な相関関係が認められなかった.このことから,Siはササゲ葉アポプラスト内のMn濃度を低下させる効果があるものの,アポプラスト内の遊離SiがMn過剰症軽減に何らかの役割を果たしていると考えられた. 一方,カボチャの場合,各処理区のMn過剰症発生程度(及びアポプラスト溶液のPOD活性)とアポプラスト内Mn濃度との間に正の相関が認められた,また,Si施用によって,(+/+), (-/+)区のアポプラスト内Mn濃度は,(-/-)区の40%以下に低下した.さらに,これらの区では,細胞壁画分からDTPAによって抽出されるMn量が,(-/-)区よりも有意に増加した.したがって,カボチャの場合,SiのMn過剰症軽減効果にはアポプラスト内Mn濃度の低下が大きく関与しており,細胞壁に吸着されて存在するMn量の増加がその因と推察された. 以上の内容の一部は,国際植物栄養科学会議(2001年)で発表した. 今後は,以下の点について研究を進める予定である. (1)ササゲ葉アポプラスト溶液中の低分子有機酸やフェノール性物質等の分析を通じてアポプラスト液内でのSiの役割を明確にする. (2)Siが,カボチャ葉細胞壁のMn結合容量に及ぼす影響と.そのメカニズムを検討する. (3)根圏/根のアポプラスト環境でのSiの役割について明らかにする.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kozo Iwasaki: "Can leaf apoplastic manganese and silicon concentrations explain Si-enhanced manganese tolerance of Vigna unguiculata (L.) Walp.?""PIant nutrition : Food security and sustainability of agro-ecosystems through basic and applied research.", Horst et al.(Eds.), Kluwer Academic Publishers. 246-247 (2001)
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[Publications] 武本絹代: "台木カボチャ2品種の根アポプラスト・シンプラスト溶液中のケイ素濃度の比較"2001年度(第97回)日本土壌肥料学会関西支部講演会要旨集. 32 (2001)
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[Publications] Kozo Iwasaki: "Leaf apoplastic silicon enhances manganese tolerance of cowpea (Vigna unguiculata (L.) Walp.)"Journal of Plant Physiology. 159・2. 167-173 (2002)
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[Publications] Kozo Iwasaki: "Effect of silicon supply on apoplastic manganese concentrations in leaves and their relation to manganese tolerance in cowpea (Vigna unguiculata (L.) Walp.)"Plant and Soil. 238・2. 281-288 (2002)