2001 Fiscal Year Annual Research Report
Thermus属細菌の新規リジン生合成と活性調節メカニズムの解明
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13660079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教授 (00208240)
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Keywords | リジン生合成経路 / Thermus thermophilus / αアミノアジピン酸 / アルギニン生合成経路 / 進化 |
Research Abstract |
我々は、Thermusでは、リジンはアスパラギン酸キナーゼを介さない経路(αアミノアジピン酸経路)で合成されることを見いだした。しかしながら、その経路が通常のカビ・酵母で見られるものと異なり、経路の後半はアルギニン生合成と似た反応によることを遺伝子の塩基配列から示唆してきた。これまでに、クローン化したargDのホモログ(lysJと命名)が実際にリジン生合成に関わることが明らかにした。また、その一方で、LysJはリジン生合成の推定基質よりもアルギニン生合成中間体の方をより良い基質とすることが明らかになった。これは、Thermusの生育におけるアルギニン生合成の重要性を示唆すると同時に、リジン生合成とアルギニン生合成が進化的に関連することを示すこととなった。そこで、LysJの次の反応であるリジン生合成の最終段階を触媒する脱アセチル化酵素をコードすると考えられる遺伝子としてargEホモログ(lysKと命名)をクローン化した。同遺伝子の破壊株は予想とは異なり最少培地で非常にゆっくりと生育することが明らかになった。アルギニン生合成中間体であるオルニチンの添加ではこの菌の生育に変化が認められなかったが、リジンの添加により完全とは行かないまでも明らかに生育の回復が見られた。このことは、同遺伝子がリジン生合成に関わることを示している。さらに、リジンと同時にオルニチンを添加することによって、生育は野生型に近いレベルにまで回復した。LysKを精製し、活性測定を行ったところ、アセチルリジンとアルギニン生合成の中間体であるアセチルオルニチンに対してほぼ同等の基質特異性を示した。LysKおよびLysJの結果から、リジンとアルギニンの両者を区別せずに生合成する系が先に成立し、その後リジンを全く別の系で生合成する現在のジアミノピメリン酸経路ができあがった可能性が示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miyazaki, J.: "Functional and evolutionary relationship between arginine biosynthesis and prokaryotic lysine biosynthesis through α-aminoadipate"Journal of Becteriology. 183(17). 5067 (2001)
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[Publications] miyazaki, J.: "Characterization of a lysK gene as an argE homolog in Thermus thermophilus HB27"FEBS Letters. 512. 269-277 (2002)