2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻由来の光合成炭素還元系に関わる新規酵素の立体構造と反応機構の解明
Project/Area Number |
13660098
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西村 勁一郎 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (70026558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 俊治 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助教授 (70275288)
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Keywords | ラン藻 / 結晶構造 / 放射光 / FBPase / SBPase / GAPDH / 光合成炭素還元系 |
Research Abstract |
砂漠の緑化に有用な植物育種のための基礎研究として、光合成炭素還元系に関わる新規酵素の構造機能研究を行った。本課題研究では、先に結晶化条件を確立したラン藻Synechococcus PCC 7942由来の3種の酵素の立体構造をX線結晶構造解析により決定し、酵素機能解明のための構造情報を得ることを目的とした。 (1)フルクトース-1,6-/セドヘプツロース-1,7-ビスボスファターゼ(FBP/SBPase):良質な結晶を用いた高品質のMADデータの収集を行った。従来の精製ステップにさらにゲルろ過カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、より純度の高いSe-Met置換体を調製した。結晶化条件についてさらに検討を加え、再現性の高い方法を確立した。大型放射光を用いて回折X線測定を行い、良質なデータ収集を試みた。初期位相の決定はパターソン法および直接法により行った。その結果、4量体を示唆する電子密度図を得た。 (2)フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ(FBPase):立体構造を2.6Åの分解能で決定し(R_<work>=21.8%、R_<free>=26.2%)、本酵素が過酸化水素に非感受性である構造要因を明らかにした。また、ホウレンソウ由来FBPaseの構造との比較から、高等植物の酵素における光活性調節機構を推定した。 (3)グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH):本酵素のアポ体(R_<work>=25.6%,R_<free>=28.7%)、NADP^+と低活性型および高活性型GAPDHとの複合体(ホロ体I(R_<work>=23.6%,R_<free>=27.3%)、ホロ体II(R_<work>=24.3%、R_<free>28.5%)の構造を決定した。その結果、NADP^+のアデノシン2'-リン酸部位に結合するThr34とArg80がNADP^+の選択的認識に重要な役割を持つことが明らかとなった。また、本酵素は同一サブユニットの4量体構造をもつが、I形において、サブユニット中の補酵素結合部と基質結合部の2個のドメインが互いに近づくように連結部が折れ曲がっていることが見出され、このことが酸性側で酵素活性が低下する要因の一つと推定した。
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