2001 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の生産する脳神経細胞保護を目的としたアポトーシス制御物質に関する研究
Project/Area Number |
13660104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新家 一男 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (20251481)
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Keywords | アポトーシス / 中枢神経疾患 / PC12細胞 / Par-4 / パーキンソン病 / Halxazone / L-DOPA / 抗酸化活性 |
Research Abstract |
脳虚血疾患血、アルツハイマー病およびパーキンソン病等の中枢疾患における神経細胞死は、Par-4と呼ばれる因子により制御されていることが近年明らかにされてきた。したがって、これら中枢疾患はPar-4の機能を抑制することにより治癒できることが期待される。そこで神経細胞死を抑制する物質を、微生物代謝産物より見出すため、Par-4制御物質のスクリーニング系を構築することにした。また、見出したアポトーシス制御物質に関して、中枢疾患モデルに対する有効性確認する評価系を確立することにした。 Par-4遺伝子を導入したラット褐色細胞腫PC12細胞は、アルツハイマー病の原因で考えられている.アミロイドや様々なアポトーシス誘導因子に対して感受性が高まることが報告されているが、このような細胞は通常の培養条件下でもアポトーシスしやすく、安定なスクリーニングは確立できなかった。そこで、まずラットDNAライブラリーよりPCRを用いて両端にHindlllを挿入したPar-4遺伝子を取得し、テトラサイクリン制御下で作動するプラスミドに組み換えた。この遺伝子でPC12細胞を形質転換したが、導入細胞は増殖能が低かった。PC12細胞は形質転換を受けにくい細胞であるため、現在強く遺伝子導入することが可能なレトロウィルスを用いたテトラサイクリン制御Par-4発現細胞の確立を進めている。 Par-4が関与する中枢疾患のうちパーキンソン病をターゲットに、別途評価系を確立し微生物代謝産物よりパーキンソン病治療薬のリード化合物のスクリーニングを行った。その結果、広島県の土壌より単離した一放線菌よりパーキンソン病の病態促進させるL-DOPA毒性よりPC12細胞を保護する新規物質halxazoneを発見した。本物質は、低濃度で細胞保護活性を示し、脂質過酸化反応を阻害したことから抗酸化活性を有することが判明した。そこで、ビタミンE等他の抗酸化物質に関してL-DOPA毒性抑制活性を検討したが全く効果が見られなかった。そのため、ESRを用いて抗酸化物質についてL-DOPA毒性抑制メカニズムを検討したところ、halxazoneのみがL-DOPAで誘導されるラジカル産生を特異的に抑制することが判明し、カテコール酸化に特異的に作用することが示唆された。現在本物質についてさらに詳細なメカニズムおよびPar-4に対する効果を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Masuoka, K.Shin-ya, Y.Hayakawa, H.Seto, et al.: "Spiruchostatins A and B, novel gene expression enhancing substances produced by Pseudomonas sp"Tetrahedron Letters. 42. 41-44 (2001)
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[Publications] K.Shin-ya, W.Konstanty, Y.Hayakawa, H.Seto, et al.: "Telomestatin, A Novel Telomerase inhibitor from Streptomyces anulatus"Journal of American Chemical Society. 123. 1262-1263 (2001)
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[Publications] Y.Masuoka, K.Shin-ya, Y.Hayakawa, H.Seto, et al.: "Phoenistatin, a new gene expression enhancing substance produced by Acremonium fusigerum"Journal of Antibiotics. 54. 187-190 (2001)
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[Publications] T.Kawamata, T.Yamaguchi, K.Shin-ya, T.Hori: "Time courses of increased expression of signaling transduction molecules induced by basic fibroblast growth factor in PC12 cells"Neurological Reseach. 23. 327-330 (2001)
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[Publications] H.Kobayashi, K.Shin-ya, T.Hayakawa, H.Seto, et al.: "Absolute configuration of a novel glutamate receptor antagonist kaitocephalin"Tetraheron Letters. 42. 4021-4023 (2001)
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[Publications] R.Murakami, T.Tomikawa, K.Shin-ya, Y.Hayakawa, et al.: "Ammocidin, a new apoptosis inducer in Ras-dependent cells from Saccharothrix sp. I. Production, isolation and biological activity"Journal of Antibiotics. 54. 710-713 (2001)