2002 Fiscal Year Annual Research Report
アンタゴニスト抵抗性変異を持つ昆虫GABAレセプターのリガンド結合部位構造
Project/Area Number |
13660109
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
尾添 嘉久 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (80112118)
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Keywords | GABA / レセプター / アンタゴニスト / 構造 / 変異 / 結合部位 / 昆虫 / 殺虫剤抵抗性 |
Research Abstract |
ディルドリン抵抗性イエバエOCRは,GABAレセプターの非競合的アンタゴニスト結合部位に299Ala→Ser点変異を持っている.そのレセプターに対する殺虫剤フィプロニルの類縁体(フェニルピラゾール)の親和性を[^3H]EBOBを用いたアッセイ法で測定し,相補的な結合部位の構造を推察した.最初に,OCRのEBOBに対する交差抵抗性を測定したところ,OCRは感受性系統と比較して約60倍の抵抗性を示したが,探索プローブとして使用可能であった.感受性系統に対してnMオーダーの高活性を示した14種の3,4,5-置換-1-(2,6-ジクロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)ピラゾールを選んで,OCRレセプターに対するアッセイを行ったところ,感受性系統とかなり異なった構造活性相関を示すことがわかった.いずれの化合物も著しい親和性低下を示したが,ピラゾール環4位に電子吸引性基がある場合にOCRレセプターに対する比較的高い親和性が見られた.しかしその場合でも感受性イエバエのレセプターに比べて数百分の一の親和性であった.4位に臭素原子が置換している場合などには1600倍以上の極めて高い親和性低下を示すものもあった.5位へのアミノ基の導入はOCRレセプターへの親和性を低下させる場合もあったが,2位にシアノ基を持つフィプロニルに酷似した構造の3類縁体の場合には,同位置にアミノ基があるにもかかわらず,OCRレセプターに対して1/5以下の親和性低下しか示さなかった.新たに合成した二環式リン酸エステル類やフェニルトリアゾールについても同様のアッセイを行ったが,いずれの化合物も10μMで全く活性を示さず,OCRレセプターに対して結合性を示さなかった.以上の結果,抵抗性イエバエのGABAレセプターのアンタゴニスト結合部位は,きわめて特殊な化合物のみがフィットするような構造になっていることが推察された.
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