2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660111
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤田 智之 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (10238579)
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Keywords | brasiliamide / 痙攣活性 / Penicillium brasikianum Batista / オカラ |
Research Abstract |
Penicillium brasikianum Batista JV-379株のオカラ培養物から単離した2種のカイコ痙攣性物質の構造を各種機器分析により決定した。いずれも新規化合物であったことから、それぞれbrasiliamide A, Bと命名した。Brasiliamide Bは室温でのNMR測定において各種溶媒中で2種の成分の混合物として観察され、温度を変えるとその比率およびスペクトルが変化する現象が認められた。また、高温では単一なスペクトルを与え、低温では4種の異性体の存在が確認できた。本化合物を水素添加して得られたジヒドロ体も室温で4種の異性体が存在した。これらの変化が溶液中でのコンフォメーション変化と予想されたので、trans-1, 4-diacetyl-2, 5-dimethylpiperazineをモデル化合物として合成し、スペクトルを詳細に解析した。その結果、アセチル基の配置の異なる4種の異性体が存在することがわかり、アミド結合のcis/trans異性化によって回転異性体が観測されることを明らかにした。Brasiliamide Bおよびdihydrobrasiliamide Bについても各回転異性体のシグナルを帰属し、低温あるいは室温でNOE測定を行ってアセチル基の配向性を決定した。この解析により、室温ではbrasiliamide Bの一方のアミド結合の回転が速いために均一化されてシグナルがブロードニング化して現れ、もう一方のアミド結合の回転異性体に由来する2種の異性体のみが観察されることを明らかにした。 一方、JV-379Cと仮称する化合物はその平面構造を決定し、fumitremorgin類の新規化合物であることがわかった。現在、立体化学を検討中である。
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