2002 Fiscal Year Annual Research Report
食事成分による大腸ガン細胞の増殖抑制・細胞死誘導におけるアクチビンAの役割の解析
Project/Area Number |
13660114
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
園山 慶 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (90241364)
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Keywords | アクチビンA / 酪酸 / 大腸ガン / HT-29 / IEC-6 |
Research Abstract |
本研究では、1.これまで観察してきた大腸ガン細胞株における酪酸によるアクチビンA遺伝子の発現刺激が正常細胞においても観察されるか否か、また、2.大腸ガン細胞株において酪酸により発現が刺激されるアクチビンAがパラクラインファクターとして正常腸上皮細胞の増殖等に影響を及ぼすか否かを明らかにすることを目的として、以下の検討を行った。 1.ヒト胎児由来正常結腸上皮細胞株FHC、ラット小腸由来正常上皮細胞株IEC-6、ならびにラット結腸より切り出した組織断片を各種濃度の酪酸ナトリウム添加培地で培養し、経時的にRNAを分離して半定量的RT-PCRにより遺伝子発現レベルを調べた結果、アクチビンA mRNAレベルは酪酸ナトリウムにより変化しなかった。したがって、酪酸によるアクチビンA遺伝子発現の刺激はガン細胞に特異的な現象であると推察された。また、ラット結腸より切り出した組織断片においては、酪酸ナトリウム添加の有無にかかわらず、培養開始時から経時的にアクチビンA mRNAレベルが上昇したが、これはアクチビンAが組織損傷・修復に関与することと関連しているのかもしれない。 2.IEC-6細胞をアクチビンA添加培地で培養したときの細胞周期をフローサイトメータで分析した結果、G1期停止が誘導されることがわかった。そこで、酪酸の添加によってアクチビンAの発現・分泌の増加が予想されるヒト結腸ガン細胞株HT-29の培地をconditioned mediumとしてIEC-6細胞の培養に用い、細胞増殖の指標としてDNA合成速度(BrdU取り込み)を測定したところ、増殖はむしろ促進した。したがって、酪酸添加培地で培養することによりHT-29細胞が正常細胞の増殖を刺激するような因子を培地中に放出することが示唆されたが、このものの本体は現在のところ明らかではない。
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Research Products
(1 results)