2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660131
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中山 勉 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50150199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (10295561)
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Keywords | 脂質二重層 / カテキン類 / EGCg / 重水素NMR / 固体高分解能NMR / 状態分析 / リポソーム / 抗菌活性 |
Research Abstract |
1.固体NMRによるEGCgと脂質二重層との相互作用の解析 リポソーム中のリンのNMRを測定し、脂質二重層の状態変化を調べた。EGCg添加による線幅の減少は、脂質のリンが変化したことを示している。また、MAS(Magic Angle Spinning)測定により得られるσ_<iso>の値も、EGCg添加により高磁場シフトした。以上の結果より、EGCgは膜表面付近に存在して、リンの運動性に影響を及ぼしていることが明らかとなった。 ^2HラベルしたEGCgをプローブにして^2H-NMRを測定すると、^2H-EGCgの分裂幅はリポソームに組み込まれた時に小さくなった。これはEGCgが確実に膜に作用していること示している。 2.カテキン誘導体(アルキルチオエーテル誘導体)の脂質二重層への取り込み量と抗菌活性との関連(+)カテキンと各種アルキル鎖長のアルデヒドから10種類のカテキン誘導体を合成し、細菌類に対する抗菌活性を調べた。抗菌活性はバチルス3株、スタフィロコッカス2株、エンテロコッカス1株を用い、液体培地希釈法を用いて最小発育阻止濃度から調べた。(+)カテキンの抗菌活性は非常に低いが、置換基中のアルキル鎖の炭素数が増えるにつれて増大し、炭素数4から6のものは特に抗菌活性が高かった。これは、アルキル鎖が結合することにより物質の疎水性が増加し、脂質膜への親和性が高まったためと考えられる。リポソームへの各物質の取り込み量を調べたところ、これを支持する結果が得られた。 さらに、蛍光物質であるカルセインを封入したリポソームを調製し、カテキン誘導体を添加した。炭素鎖長が長くなるにつれてカルセインの漏出を促進する傾向が顕著になった。つまり、炭素鎖長の長い誘導体は、膜に取り込まれた状態で膜構造を破壊していると考えられる。
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