2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660149
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
馬田 英隆 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (30041669)
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Keywords | エリンギ / ヒラタケ / 菌寄生植物 / 菌根共生 / 交配型 / 木材腐朽 / 無葉緑ラン / 4極性 |
Research Abstract |
キノコの交配型の違いが植物との菌根共生の樹立に当たってどの様に反映されるかを調べた.キノコはヒラタケとエリンギを使用し,植物は無葉緑ランの一種タカツルランを使用した. 始めに2つのキノコを培養し子実体を得た.2種のキノコは4極性であることが知られている.ヒラタケからは4種の1核性菌糸と2種の2核性菌糸を得たが,エリンギからは2種の1核性菌糸と1種の2核性菌糸のみをそれぞれ得た.次いで,タカツルラン種子と各菌糸との間で二者培養を行い,種子の発芽率,生育段階の分布などを調べた.各菌糸の木材腐朽能力も調べた.得られた結果は次の通りである. 1.ヒラタケとエリンギは共にタカツルラン種子との間に共生関係を樹立し,タカツルランの種子発芽を誘導し植物体まで生長を促した.しかし,タカツルラン種子はこの2つのキノコが存在しないと全く発芽しなかった.木材腐朽菌であるヒラタケとセリ科植物の病原菌であるエリンギが,草本植物との間に共生関係を樹立した報告例はなく,これら2種のキノコの新たな生物学的な機能が明らかになった. 2.各菌糸と種子発芽との関係では,(1)ヒラタケでは4種の1核性菌糸間では1菌糸のみが劣り,他との間では有意差は無く,また2核菌糸間とでも有意差はなかった.(2)エリンギでは2核性菌糸が2種の1核性菌糸より明らかに優れていた.これらの結果は,(1)ヒラタケでは1核性菌糸の共生に対する劣性は2核性菌糸には発現されないが,(2)エリンギでは1核性菌糸が2種とも共生能力が劣っても,2核性菌糸になると双方相補って強化される性質があることを示唆し,今後継続的な研究が必要である. 3.木材腐朽と共生との関係では,(1)ヒラタケでは相関は明らかでなかったが,(2)エリンギでは正の相関が見られた.
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