2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660149
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
馬田 英隆 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30041669)
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Keywords | シイタケ / 系統間変異 / 菌糸生長 / 菌根共生 / ラン型菌根 / 無葉緑ラン / タカツルラン |
Research Abstract |
同一種でも異なる遺伝子群を保有しているキノコは植物との菌共生の樹立にどのように影響するかを調べた。 材料としたキノコはシイタケで植物は無葉緑ランの一種のタカツルランである。日本・東アジア地域とパプアニューギニア・東南アジア・オーストラリアとニュージーランドの3地域のシイタケはそれぞれ異なる遺伝子群を保有していると考えられている.本研究では(1)日本産(JPN)、パプアニューギニア産(PNG)、ニュージーランド産(NZ)の北から南まで地域的に異なる3系統のシイタケが,それぞれ温度に対してどのような生長特性を有するのか,(2)系統の違いはタカツルラン種子の共生発芽にどのように影響するかについて調査した. 得られた結果は次の通りである。 1.温度と菌糸生長:温度に対する系統間の違いを,菌糸生長に及ぼす温度との関係から評価を試みた。その結果、23-25℃がそれぞれの菌株の菌糸生長にとって最適の生育温度であった.しかし、菌株間で特徴的なのは,25℃以下ではPNGとNZ菌株はJPN菌株より菌糸生長が良かった.さらにすべての菌株は30℃で極端に生長が悪くなり,特にPNGは殆ど菌糸生長がないか有ってもごく僅かで,NZ菌株はまったく生長しなかった.ただし30℃で培養していたPNG,NZ菌株を25℃に移すと,再び菌糸は生長を始めた.また各菌株間の対峙培養の結果は,3地域の菌株の間には明確なバラージが形成された. 2.タカツルラン種子の発芽:タカツルラン種子は米ぬか-オガクズ培地で4菌株全てとの共生培養で発芽したが,シイタケ菌を接種していない非共生培養では発芽しなかった.発芽率は,培養温度で比較すると30℃の方が25℃に比べ良好であった.しかし30℃ではPNG,NZの2菌株との共生培養では種子は全く発芽しないか,発芽しても極端に低い発芽率であった.25℃では月を追うに従い発芽率が上昇したが,30℃ではその様な傾向は観察されなかった. 結論として,異なった遺伝子群を持つと考えられている日本,パプアニューギニア,ニュージーランド産の3系統のシイタケ菌は,温度と菌糸生長の点でも異なった生長パターンを示した.また各菌株とタカツルラン種子と共生培養すると,すべての菌株が種子発芽を刺激し,菌毬が観察された.しかし,発芽率はシイタケの系統と培養温度によって異なった.
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