2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660154
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤原 政司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30229075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 嘉拓 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10001463)
惠良田 知樹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30213581)
高井 光男 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50002019)
高谷 典良 北海道立林産試験場, 技術部・合板科, 科長
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Keywords | リグニン / ドーピング剤 / 導電性 / 面状発熱体 / 電荷移動錯体 |
Research Abstract |
完全に絶縁体であると考えられていた木材主要成分のリグニンに酸化剤(ヨウ素や塩化鉄等)をドープすると、電気伝導度が絶縁体の10^<-10>S/cmから一億倍ほど増大し、典型的なπ共役系高分子であるポリアセチレンやポリチオフェンに匹敵する高電導性(10^<-5>S/cmら約10^<-2>S/cm)が付与される。このような半導体的性質をもったリグニンに電流を流すと、リグニン自体が発熱する性質を示す。本研究ではこの発熱性に着目し、ドーピング剤添加リグニンをシート状に加工し、自己温度制御型面状発熱体シートへ応用することを検討した。本年度は各種リグニンとドーピング剤の組合せについて効果の違いを検討した。また、熱処理と電気伝導度の関係について調べた。 リグニン試料としてオルガノソルブリグニン、リグニンスルホン酸ナトリウム、シラカバ酢酸リグニン、Milledウッドリグニン(エゾマツ、またはブナ)などを用い、またドーピング剤としてヨウ素や塩化鉄IIIを用いて導電性の向上について検討した。その結果、一般に導電性の向上はみられたものの時間の経過とともに減少する傾向が見られた。その中でオルガノソルブリグニンにヨウ素をドープした試料が比較的安定していた。 シートの自己温度を一定温度に制御するためには、高温になるにつれてシート自身の電気抵抗値が上昇し電流を制限する必要があるので、加温によるシートの電気抵抗値の変化を調べた。その結果、室温、75℃、100℃と温度が上昇するにつれて電気抵抗値が上昇する傾向が見られた。この現象はシートのUV測定により温度が上がるにつれて導電性を担っている電荷移動錯体の形成が困難になったためだと考えられた。
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