2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゼロ・エミッションを目指した新しい木質複合梁の開発
Project/Area Number |
13660155
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関野 登 岩手大学, 農学部, 助教授 (30171341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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Keywords | I型ビーム / フランジ / ウェブ / 単板ストランド / MDF / MDI接着剤 / 曲げ性能 / 寸法安定性 |
Research Abstract |
一般に木質Iビームは、フランジにLVLを、ウェブにOSBを用いる場合が多く、二種類の接着製品を二次接着して製造される。本研究では、寝かされたIビームが横に接して並ぶ状態をイメージすることで、一回のプレス成形で多数のIビームが製造可能と考え、単板ストランドなどを原料としてフランジ成形を行うと同時に、ウェブ・フランジ間の接着が完了する新たなIビーム製造方法を考案した。初年度(H13)は、従来型熱板プレスによる本製造法の技術的な可能性が確認されたが、Iビームの機械的性質および寸法安定性の向上には、接着剤(PFレジン)塗布後のストランド含水率の最適化、フランジ内部の密度傾斜の低減、ウェブ・フランジ間の接着強度の増強、などの必要性が示唆された。 そこで本年度は、4mm×4mm断面の単板ストランドによるフランジの比重を0.7、接着剤塗布後のストランド含水率を12%に固定し、ストランド間のPFレジン塗布量を20および40g/m^2の2水準、ウェブ・フランジ間の接着剤の種類と塗布量を各2水準(PF;25、50g/m^2、MDI;25、50g/m^2)に変化させ、200℃20分熱圧でIビームを製造し、基礎物性を調べた。その結果、ストランドへのPFレジン塗布量を従来比2倍の40g/m^2とすることで曲げ強度が約3割向上し、フランジの吸水膨潤率が約2割低減された。また、ウェブ・フランジ間の接着剤をPFからMDIに変更すると、フランジ内部の密度傾斜が低減され、25g/m^2という少ない塗布量でもウェブ・フランジ間接着強度は4〜5MPaとなった。これは、PFに比べて硬化エネルギーが少ないことにも起因するためで、ウェブ・フランジ接着にMDIを用いれば熱圧時間短縮の可能性が示唆された。そこで、熱圧時間をこれまでの20分から最短12分まで変化させた結果、熱圧12分でも曲げ性能およびウェブ・フランジ間接着強度に有意な低下は認められなかった。ただし、フランジの24時間吸水膨潤率は12%程度となり若干増加した。
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