2001 Fiscal Year Annual Research Report
林業および林産業廃棄物の高度資源化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13660167
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 農学部, 助教授 (30253339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 一彦 高知大学, 農学部, 教授 (50038254)
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Keywords | スギ / ヒノキ / 樹皮 / 抽出成分 / 植物成長阻害 / 林業廃棄物 / 農業用資材 |
Research Abstract |
木材工業廃材のうち,大量に発生するにもかかわらず用途の少ないスギ・ヒノキ樹皮を農業用資材として利用する試みがなされている。しかしその一方で,樹皮に含まれる抽出成分は植物に対し成長阻害作用を示すことが報告されており,それらの用途には適さないといわれている。そこで,本研究では,スギ・ヒノキ樹皮成分の草本系植物に対する成長阻害作用の詳細を明らかにすることと、その対策法の開発を主な目的とした。 スギおよびヒノキ樹皮を外樹皮と内樹皮に分離した後粉砕し,16メッシュ通過の樹皮粉を調製した。各樹皮粉をベンゼンで脱脂処理した後,ソックスレー抽出器で8時間メタノール抽出した。得られたベンゼン抽出物あるいはメタノール抽出物を脱脂綿培地に所定量添加し,25℃の恒温器中でキュウリ,ナス,ケナフなどの数種の草本系植物の成長試験を行った。 スギ,ヒノキ外樹皮メタノール抽出物4%添加培地において,播種後7日目のキュウリの成長量はブランクに対して3分の2程度であり,スギ,ヒノキ内樹皮メタノール抽出物4%添加培地ではキュウリの成長量はブランクの2分の1以下であった。外樹皮,内樹皮抽出物ともにそれ以上添加しても成長量は4%の時をわずかに下回るのみであった。スギ,ヒノキ樹皮のメタノール抽出物は植物に対する成長阻害作用を示すことは明らかであり,外樹皮よりも内樹皮の方がその作用は大きいことがわかった。また,スギ,ヒノキともに内樹皮の抽出物量は外樹皮よりも圧倒的に多く,成長阻害作用に及ぼす内樹皮の重要性が明らかにされた。ベンゼン抽出物でも外樹皮のものを3%添加するとある程度の成長量の低下が見られたが,樹皮中にベンゼン抽出物は1〜2%しか存在しないことを考えると,その影響は小さいものと思われる。他方,樹皮抽出成分の成長阻害作用を失活させる方法として,ゼラチン,PVPの添加が有効であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 森本真弓, 大谷慶人, 鮫島一彦: "スギ,ヒノキの内樹皮,外樹皮におけるタンニンの定量"日本木材学会中国・四国支部2001年度研究発表会要旨集. 48-49 (2001)