2002 Fiscal Year Annual Research Report
林業および林産業廃棄物の高度資源化に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13660167
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大谷 慶人 高知大学, 農学部, 助教授 (30253339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 一彦 高知大学, 農学部, 教授 (50038254)
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Keywords | スギ / ヒノキ / 樹皮 / 抽出成分 / 植物成長阻害 / 林産廃棄物 / 農業用資材 |
Research Abstract |
大量に発生するにもかかわらず用途の少ないスギ・ヒノキ樹皮を農業用資材として利用するには,樹皮に含まれる抽出成分が植物に対して成長阻害作用を示すために,問題があるといわれている。そこで,本研究では,スギ・ヒノキ樹皮抽出成分の草本系植物に対する成長阻害作用の詳細を明らかにすることと,その対策法の開発を主な目的とした。 スギおよびヒノキ樹皮を外樹皮と内樹皮に分離した後粉砕し,樹皮粉を調製した。各樹皮粉をベンゼンで脱脂処理した後,ソックスレー抽出器で8時間メタノール抽出した。得られたメタノール抽出物およびその溶剤分画物,更にはGPC,液体クロマトグラフィーによる分画物を脱脂綿培地に所定量添加し,25℃の恒温器中でキュウリの成長試験を行った。同様に,.樹皮抽出物添加培地に種々の物質を添加してキュウリの成長試験を行い,樹皮抽出物の成長阻害効果を抑制する働きを調べた。また,各分画物から単離した化合物はNMR, GC-MSスペクトルで分析した。 スギ,ヒノキ内樹皮メタノール抽出物を酢酸エチル可溶部,1-ブタノール可溶部,分画残渣に分けた後,各フラクションのキュウリに対する成長阻害効果を調べた。これらの中で,1-ブタノール可溶部と分画残渣に成長阻害効果が見られた。1-ブタノール可溶部からは更にエタノールを用いたGPCで分離すると,カテキン,カテキン二量体などの化合物が単離された。GPCカラムに残った溶離残渣はアセトンで溶出させた。カテキン添加培地では添加量は少なくても大きな成長阻害効果を示すことがわかった。存在量の多い溶剤分画残渣およびGPC溶離残渣は大きな成長阻害効果を示した。これらは高速GPCおよび分解反応などにより,カテキンの数量体である縮合タンニン構造を持つものと推定された。すなわち,樹皮抽出成分の植物成長阻害作用は縮合タンニンが主な原因となっていることを明らかにした。他方,樹皮抽出成分の成長阻害作用を失活させる方法として,いくつかの化合物の添加が有効であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 紀伊真奈美, 森本真弓, 大谷慶人, 鮫島一彦: "スギ、ヒノキの樹皮成分の植物に対する成長阻害作用"第52回日本木材学会大会研究発表要旨集. 374 (2002)
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[Publications] Y.Ohtani, M.Morimoto, K.Sameshima: "Control of Inhibitory Effects of Sugi, Hinoki Barks on Plant Growth"The 14th Symposium of the Materials Research Society of Japan. 187 (2002)