2001 Fiscal Year Annual Research Report
AE支援による心持ち大断面材の割れ防止高温乾燥技術に関する基礎研究
Project/Area Number |
13660168
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤本 登留 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (80238617)
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Keywords | 心持ち大断面材 / 表面割れ / AE / 表面応力 / 木材乾燥 |
Research Abstract |
本年度は、スギ等心持ち大断面材の乾燥時に発生するAE(アコースティック エミッション)のモニタリングから割れの発生時期を事前に判断して乾燥条件を制御するためのシステムを構成するとともに、スギ正角材の従来型スケジュール(高湿条件から低湿条件へ変化)に適用した際のAE発生挙動と湿度制御について動作確認試験を行った。 本システムは、乾燥状態の情報として被乾燥材の重量(含水率)およびAEカウントレートを採用した。すなわち、乾燥装置となる恒温恒湿装置上部の電子天秤に吊り下げた供試材の重量を計り、RS232Cでパーソナルコンピュータへ入力するとともに、AEセンサで感知した信号をAEテスタでカウント信号としてPIOインターフェイスを介して同様にパーソナルコンピュータへ連続的に取り込んだ。一方、コンピュータからはGP-IBインターフェイス、プロトコルコンバータを介して恒温恒湿装置の温度および相対湿度をコントロールできるようにシステムを作製した。このシステムを利用して森林総合研究所が提案した含水率スケジュールの平衡含水率に対応するように温度80℃で相対湿度を自動的に変化させるとともに、AEのカウントレートが一定のしきい値を越えると相対湿度を下げないか、逆に上昇させる機能を付加している。 今回の実験においては、AEカウントレートは含水率40%程度で極大値を示し、相対湿度の測定値よりも制御値が高い値となり、AEによる制御が効いていることが確認できた。さらに乾燥が進むと、AEの発生は少なくなり、相対湿度の制御値と測定値はほぼ同じ値で推移し、表面割れもなく乾燥が仕上がった。なお、このAEの発生傾向は、従来測定されていた同乾燥温度条件の心持ち柱材幅方向表面応力に類似しており、AEが表面割れの危険性の推移を的確に示しているものと推察された。
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