2001 Fiscal Year Annual Research Report
底層域における貧酸素水塊の発達とミズクラゲ大発生との関連
Project/Area Number |
13660179
|
Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
石井 晴人 東京水産大学, 水産学部, 助手 (30251680)
|
Keywords | クラゲ類 / 大量発生 / 沿岸海洋環境 / ミズクラゲ / 東京湾 / 貧酸素水塊 / ブラヌラ / ポリプ |
Research Abstract |
東京都品川区船の科学館内定点に吊下した付着板上のミズクラゲポリプ(以下ポリプ)個体数の定量的追跡結果から、その個体数は他の付着生物(ムラサキイガイ等)との競争の結果、付着直後から急激に減少したものの、秋〜冬に付着した個体はその個体数を増加させ、付着直後の最大約6倍のエフィラを遊離させることが明らかとなった。これは、秋〜冬にかけてポリプと空間的に競合するムラサキイガイ等の活性が低下したためであると考えられ、秋まで生存し産卵を行っているミズクラゲの個体数が翌年度のミズクラゲ発生数に大きな影響を及ぼしている可能性が示唆された。 同地点の桟橋支柱上におけるポリプの潜水による周年観察の結果、その分布は付着板同様にムラサキイガイ等の群集に大きく影響されていることが判明し、特にミズクラゲの産卵盛期である夏季には支柱表面はムラサキイガイ等によって覆われ、ポリプは全く観察されなかった。しかしながら底層付近にはムラサキイガイ等は生息しておらず、この空間にポリプ群集が認められた。同時に測定した溶存酸素濃度の結果から、底層付近には夏季から秋季の始めにかけて貧酸素水塊が発達していることが判明し、これがムラサキイガイ等の生息を困難にしておりポリプに生息できる空間を供しているものと考えられた。一方、ポリプが貧酸素水塊内に認められたことから、低い溶存酸素濃度に対する耐性が高いことが予想され、来年度は飼育実験によってこのことを実証する予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 石井晴人: "環境変動が沿岸海洋プランクトン生態系に及ぼす影響、特にクラゲ類の増大に関連して"日本プランクトン学会報. 48. 55-61 (2001)
-
[Publications] 石井晴人: "ミズクラゲの生活史と生態"月刊海洋. 号外27. 173-181 (2001)
-
[Publications] Watanabe, T., H.Ishii: "In situ estimation of ephyrae liberated from polyps of Aurelia aurita using settling plates in Tokyo Bay, Japan"Hydrobiologia. 451. 247-258 (2001)
-
[Publications] Ishii, H., F.Tanaka: "Food and feeding of Aurelia aurita in TokyoBay with an analysis of stomach contents and a measurement of digestion times"Hydrobiologia. 451. 311-320 (2001)