2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660189
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
大越 健嗣 石巻専修大学, 理工学部, 助教授 (60201969)
|
Keywords | 貝殻 / 年齢査定 / 成長解析 / 微量元素 / 蛍光物質 / 塩化ストロンチウム / テトラサイクリン / 二枚貝 |
Research Abstract |
貝類の貝殻や魚類の耳石などの硬組織は、近年、成長解析や生活履歴の解明、生息環境情報の解析に用いられている。貝類の年齢査定や成長履歴解析のためのツールの開発は、水産サイドはもちろん、生態学や貝塚から出土した貝などを扱う考古学などさまざまな分野から要望が出されており、その開発は緊急の課題であると考えられる。そこで研究では、蛍光物質や微量元素を指標として、その貝の成長量の把握や年齢が査定できる方法を開発することを目的とした。 (1)蛍光物質およびストロンチウムによる貝殻への標識法の開発 河口域に生息するヤマトシジミ、浅海に生息するアサリ、マガキ、アコヤガイ、南極に生息するオキナガイ科の二枚貝、深海に生息するシンカイヒバリガイ類について、蛍光物質のテトラサイクリン、アリザリン・コンプレクソン、カルセイン、元素標識用には塩化ストロンチウムを用いて標識する方法を開発した。深海に生息する二枚貝の一部を除き好適な標識条件を確立した。ストロンチウム標識法ではこれまで不可能であったミクロンレベルでの微量な成長量を計測することにはじめて成功した。 (2)上法を用いて実試料を用いて成長解析を試みた。アサリやヤマトシジミでは成長縞と対応させた解析が可能となり、取り込まれた蛍光色素やストロンチウムの部分から貝殻の縁辺部までの長さを測定することにより一定期間の成長量を算出することが可能となった。貝殻の肥厚成長についても同様の解析が可能となった。ただ、成長縞との対比により年齢や日齢などを算出することは、とくにヤマトシジミでは困難であった。はっきりとした成長縞の見られないマガキでは貝殻の部分や右殻と左殻の成長量の違いなどを解析することができた。アコヤガイでは貝殻の成長と挿核後に真珠袋内で形成された真珠の真珠層の単位時間あたりの成長、時期による成長の違いなどを解析することが可能となり、実際に解析を行った例を示した(研究発表の項参照)。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Waka Sato, Okoshi: "Application of fluorescent substances to the analysis of growth performance in the Antarctic bivalve, Laterunula elliptica"Polar Bioscience. 15. 66-74 (2002)
-
[Publications] Katsunori Fujikura: "Use of strontium as a growth marker for estimation of microscopic growth rates in a bivalve"Marine Ecology Progress Series. 257. 295-301 (2003)
-
[Publications] Kenji Okoshi: "Analyses of hard tissue formation by fluorescent substances in mollusks"Biomineralization (BIOM2001) (Proceedings of the 8^<th> International Symposium on Biomineralization). 202-206 (2003)
-
[Publications] 大越 健嗣: "貝殻・貝の歯・ゴカイの歯"成山堂書店. 164 (2001)