2002 Fiscal Year Annual Research Report
貝類の高度な環境順応は新たなエネルギー節約系が関与する
Project/Area Number |
13660196
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Research Institution | Ishikawa Agricultural College |
Principal Investigator |
榎本 俊樹 石川県農業短期大学, 食品科学科, 教授 (70203643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久田 孝 石川県農業短期大学, 食品科学科, 助教授 (00290081)
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Keywords | 貝類 / 浸透圧調節 / 嫌気代謝 / 環境順応 / ホスホフルクトキナーゼ / エネルギー / 核酸関連物質 |
Research Abstract |
前年度の研究により、貝類の様々な環境条件下への順応性は、種により異なることが明らかとなった。しかし、実験に用いたいずれの貝類も嫌気的条件下では順応が可能で、順応時には活発な解糖反応が生じていた。このときの糖代謝中間体の変動から、嫌気順応時の解糖反応においてホスホフルクトキナーゼ(PFK)が鍵酵素として重要な役割を演じていることが判明した。そこで、本年度は、ホタテガイ閉殻筋からタンパク的に均一になるまでPFKの精製を行い、酵素化学的性質について検討した。その結果、ホタテガイPFKはリン酸供与体としてATPのみならずADPをも利用することが明らかとなった。なお、基質であるフルクトース6リン酸及び利用できるリン酸供与体については、濃度依存性など詳細なキネティック解析を行った。また、いずれの基質を用いた場合でも、至適pHは8付近であった。さらに、ホタテガイPFKは高等動物のPFK同様、糖代謝中間体であるフルクトース2,6ビスリン酸によって強力に活性化された。フルクトース2,6ビスリン酸による活性化は、基質に対する親和性の増加、最大反応速度の増加をもたらすものであった。ゲルろ過及びSDS-PAGEにより、ホタテガイPFKは分子量98,000のタンパク質より構成される4量体であることが示唆された。次いで、ホタテガイPFKのクローニングを目的に、プロテアーゼによるPFKタンパクの加水分解を行った。加水分解後、ODSカラムを用いたHPLCを行い、5種のペプチド画分を分取した。現在、ペプチド画分のアミノ酸配列について、プロテインシーケンサーにより解析中である。ホタテガイPFKタンパクに対する特異的な抗体についても、現在ウサギを用いて作成中である。
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