2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660197
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
窪寺 恒己 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 室長 (80170041)
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Keywords | ダイオウイカ / 分類 / 系統 / 日本海産短腕 / 日本海産長腕 / 小笠原産丸鰭型 / mtDNA解析 / COI |
Research Abstract |
1.2001年5月,兵庫県美方郡浜坂町沖の水深200m付近でトロール網により外套長約140cmのダイオウイカが漁獲されたとの情報が入った.この個体は船上で写真撮影された後,そのほとんどが投棄されてしまったが,幸いなことに鰭と腕先端,生殖腺の一部が冷凍で保存されていたので,写真とともにそれらを入手した.写真からこの個体は日本海産短腕型の成熟雄と査定され,mtDNAのCOI解析をおこなったところ,日本海産長腕型および小笠原産丸鰭型とほぼ同じ塩基配列であることが明らかとなった. 2.2001年6月に開催された日本動物分類学会第37回大会にて「日本近海産ダイオウイカの分類に関する問題点」の演題で講演を行い,本研究の概要を紹介すると共に,新たな標本の入手の支援をお願いした. 3.mtDNAのCOIに関しては,日本近海産頭足類約30種に関して解析を行った.また,新たにプライマーを試作しNDIIの解析を試みているが,ヤリイカを除き,未だ成功していない.また,今後の発展研究として平衡石による年齢査定を長崎大学水産学部の夏苅豊教授と協議している. 4.2002年1月15日,京都府網野町五色浜海岸で釣り人によりダイオウイカが捕獲されたとの情報が入り,京都府海洋センターを通じて冷凍で保存するように依頼した.2月1日車をチャーターして標本を受け取りに現地に赴き,捕獲状況・捕獲場所など視察した.この個体は外套長約170cmで日本海産長腕型の成熟雌と査定された.発見当時は生きて動いていたとのことだが,その後二日にわたり海水中に係留されていたため,標本は損傷が著しく触腕も失われていた.今後,雌生殖腺を詳しく調べる予定である. 5.2002年2月15日より23日にオーストラリア・メルボルン博物館,ニュージーランド・ウエリントン博物館を訪問し、所蔵ダイオウイカ標本を調べると共に,南太平洋産頭足類12種のDNA試料を入手し,COIを解析中である.
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Research Products
(2 results)