2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 迪子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70092202)
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Keywords | キチン分解酵素 / 養殖魚 / マダイ / キチナーゼ / 免疫組織化学 / クローニング / 構造解析 |
Research Abstract |
魚類キチン分解酵素の生体内での役割をしらべるため代表的養殖魚であるマダイの胃からキチナーゼを精製・単離した。まず、本酵素の抗体を作製し免疫組織化学法によつ発生段階での発現状況を調べた。種苗生産したマダイを孵化後2日目から60日目まで定期的に採取し、ブアン液で固定し組織切片を作製した。各成長段階の切片にヘマトキシリン・エオシン染色を施し、消化器系の発達過程を調べたところ、胃および腸の分化は艀化後20日前後から始まった。マダイ抗体に対する免疫陽性反応は孵化後3日目から腸に、19-24日目は腸および胃の両方に、さらに27日目以降は胃のみに観察された。これらのことは孵化後20日前後に消化器系の基礎構造が確立されたためキチナーゼを発現する器官が腸から胃へと移動したと考えられる。 さらに、魚類キチナーゼの魚種別、組織別および成長段階での発現を調べるため、マダイキチナーゼ遺伝子のクローニングと構造解析を行った。単離した酵素をプロテインシークエンサーによってN-末端アミノ酸配列14残基(YILSXYFTNWGQYRP)を同定した。また、CNBr分解法により、内部アミノ酸配列の部(NYWKSNGAPA)を同定し、NCBIで本酵素と相同性を持つタンパク質を検索したところ、複数の動物酸性キチナーゼおよびキチン結合タンパク質と非常に高い相同性を持つことがわかった。これらの保存領域からプライマーを作製し、マダイキチナーゼをコードするcDNAのクローニングをRT-PCR法およびRACE法によって行った。決定したcDNA配列をアミノ酸配列に変換した結果、476残基のアミノ酸をコードしていることがわかった。この演繹アミノ酸配列はFamily18キチナーゼに保存されている領域region1,2が存在し、哺乳類酸性キチナーゼのAMCaseやCBPb04と良く似ていた。現在、マダイキチナーゼ遺伝子の定量的発現解析を組織別および発生段階で試みている。
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Research Products
(1 results)