2003 Fiscal Year Annual Research Report
イカ肝臓キチン分解酵素の特性とその応用に関する研究
Project/Area Number |
13660208
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松宮 政弘 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (60150702)
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Keywords | イカ / 肝臓 / キチン分解酵素 / キチナーゼ / アセチルヘキソサミニダーゼ / 水産加工廃棄物 |
Research Abstract |
1.スルメイカ肝臓エキソ型キチン分解酵素(β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ)の精製:スルメイカ肝臓を試料とし、精製方法を検討した。スルメイカ肝臓を5倍量の10mMリン酸塩緩衝液(pH6.5)と共にホモジナイズし、その遠心上清を粗酵素液とした。硫安分画(35-70%)した後、透析し、不溶性成分を遠心分離により除去した。これをブチルトヨパール650S疎水クロマト、トヨパールHW-55SSゲルクロマトグラフィーにて分離した。SDS-PAGEにより本酵素は複数のバンドを示したことより、複数のサブユニットにより構成されるタンパク質であることが判明した。 2.スルメイカ肝臓エンド型キチン分解酵素(キチナーゼ)の構造:スルメイカ肝臓よりTotal RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてmRNAよりcDNAを合成した。次に42kDaキチナーゼのN-末端アミノ酸配列およびfamily18キチナーゼの保存配列CR-IIより縮重プライマーをデザインした。これらを用いてPCRおよびネステッドPCRを行い、約350bpの増幅断片を得た。この断片をサブクローニングし、塩基配列を解析して126アミノ酸配列を演繹した。この配列はデータベース検索より、線虫キチナーゼと約50%の低い相同性を示す事が明らかとなり、既報キチナーゼとは構造を著しく事にする、新規なキチナーゼであることが判明した。 3.スルメイカ肝臓酵素を用いたN-アヤチルグルコサミンの調製:スルメイカ肝臓硫安分画酵素をCM-トヨパールカラムを用いて分画し、比活性の高い酵素液を調製した。この酵素液を用いてエビキチン(α-キチン)、イカキチン(β-キチン)、昆虫キチン(α-キチン)、コロイダルキチン(非晶性キチン)を分解し、エンドおよびエキソ型キチン分解酵素による反応生成物であるN-アセチルグルコサミン(機能性甘味料)の調製を行った。分解生成物をHPLCで分析したところ、イカキチンおよびコロイダルキチン分解により、N-アセチルグルコサミンが生成することが判明した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Masahiro Matsumiya, Kouji Miyauchi, Atsuishi Mochizuki: "Purification and some properties of a chitinase isozyme from the liver of Japanese common squid Todarodes pacificus"Fisheries Science. Vol.69 No.2. 427-429 (2003)
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[Publications] Y.Arakane, Q.Zhu, M.Matsumiya, S.Muthukrishnan, K.Kramer: "Properties of catalytic, linker and chitin-binding domains of insect chitinase"Insect Biochemistry and Molecular Biology. Vol.33. 631-648 (2003)
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[Publications] Masahiro Matsumiya, Kouji Miyauchi, Atsuishi Mochizuki: "Characterization of a chitinase from the stomach of chub mackerel"Advances in chitin science. Vol.V. 403-406 (2003)
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[Publications] 松宮 政弘: "マサバおよびシーラカンス胃のキチン分解酵素について"キチン・キトサン研究. Vol.9, No.2. 162-163 (2003)