2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
生源寺 眞一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 保 岩手大学, 農学部, 助教授 (20177736)
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50202213)
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Keywords | 農村資源 / 比較制度分析 / 農業用水 / 共同体 / 土地改良区 |
Research Abstract |
農業用水は土地改良区による組織管理が一般的であることに注目して、なぜ市場機構を利用できないのかについて、まず理論的に検討した。そこには上下流の利用調整問題とシステムとしての維持管理問題とが資源分配上の重大な問題として存在していて、わが国ではその解決のために互恵主義とよばれる平等性原則に依拠した方式で対処しているのではないかという暫定的な結論を導いた。 このことを確かめるために、具体的な取り組みについての事例を収集する現地調査を行った。 河川灌漑のシステムについては、(1)愛媛県の道前道後土地改良区および(2)香川用水土地改良区、ため池による灌漑システムについては、(3)香川県満濃池土地、改良区、(4)奈良県大和平野土地改良区を代表例として、実態調査を行った。 (1)の地区は隣接する地域でありながら賦課金の方式が異なっていることに注目して、そこには自己水源賦存量の格差が制度の違いを生み出したことを明らかにした。 (2)の地域では県を超える流域変更の歴史を検討して、政治経済的プロセスを分析した。 (3)の地域では、いわゆる「親池」と「子池」の関係について共同体的視点から考察した。 (4)の地域では、ため池用水の「あと使い」問題を観察した上で、ため池用水が河川灌漑用水と連結した結果保険的な性格を持つようになったことを農村共同体の変化と関連させながら分析を進めた。 またこれ以外に別途生産調整方式について現地調査を行っているが、集落と生産調整の合意形成との関連について、最近の動向をしている段階である。 なお農村資源の共同体的管理が多面的機能を生み出すプロセスについても着目し、追加的な課題として、分析を進めている。
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Research Products
(1 results)