2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13660215
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Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
生源寺 眞一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 保 岩手大学, 農学部, 助教授 (20177736)
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50202213)
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Keywords | 農村資源 / 比較制度分析 / 農業水利 / 共同体 / 土地改良区 / 中国農業 / 稲作生産調整 |
Research Abstract |
本年度の研究は、次の3つの課題に分けて実施された。 1)わが国の農業水利システムについて構造的な分析を進め、利用者の行動様式も含めた内部組織論的かつ比較制度学的な理論的、実証的研究を行った。わが国の水利システムは、戦後に設立された土地改良区をベースに構築されているが、その第一の機能は水利権の実質的な受け皿として管理主体となっていること、第二の機能は水利施設の維持管理活動の仲介者として関係者のコーディネーション主体になっていることである。そこで特に注目した制度的特徴は、土地改良区が戦前の耕地整理組合または普通水利組合等の組織体と機能を継承していて、組織運営のルールに歴史的に定まった自律的規範や共同体的規律を内在させていることである。 2)わが国の稲作生産調整政策の実施過程、その中での農家、農協、行政機関、中央政府の行動と相互関係、生産調整制度が農業活動の成果に与えた影響について評価を行った。その結果、生産調整制度は農業活動を制約する阻害要因として作用することが改めて確認されたが、一方でその問題に対処するため、関係者間の相互交渉によって制度の枠組みや運用方法が、現地の事情に応じて、実質様々に手直しされていることも判明した。生産調整制度は、土地改良事業などとの制度的補完性も観察されることから、制度設計・運用のあり方によっては経済成果を向上させる可能性もあることも明らかにされた。あわせて生産調整制度の改革に関する議論も加えた。 3)海外の事例分析として、中国雲南省弥勒郡の山岳地域の一行政村で実態調査を実施した。調査地の村はまだ経済発展の初期段階にある。1970年代の土地制度改革によって土地利用権が再配分されて経営請負責任制へ移行したことが、この地域の農業活動の行動様式と土地資源管理の行動原理をどのように変化させたかを詳細に調べて比較制度的な観点から評価を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 生源寺眞一: "WTO農業交渉の論点と経済理論"林業経済. 55・3. 1-12 (2002)
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[Publications] 生源寺眞一: "農政手法の新展開:特徴と問題点"会計検査研究. 26. 50-71 (2002)
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[Publications] 生源寺眞一: "変わる米政策:生産調整と中心に"農業と経済. 69・3. 5-14 (2002)
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[Publications] 生源寺眞一: "新しい米政策と農業・農村ビジョン"家の光協会. 277 (2003)