2001 Fiscal Year Annual Research Report
施設の高度化・目的の多様化に連結した水管理システムの社会工学的研究-末端水利組織の意志決定に関して-
Project/Area Number |
13660217
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 敦志 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30283518)
石井 敦 三重大学, 生物資源学部, 助手 (90222926)
|
Keywords | 農業基盤整備 / 用水管理 / 集落合意 / 社会工学研究 |
Research Abstract |
末端水路の維持管理と水利用調整は集落の意思決定に委ねられている。しかしながら、都市化・兼業化・農地の流動化によって、従来出合い作業で行われていた末端水路や畦畔の草刈り、排水路の泥上げ等の作業が困難になっている事例も多い。本年度は、多数の事例を確保するため、印旛沼土地改良区や西蒲原土地改良区、香川用水土地改良区、磐田用水東部土地改良区、十日町市土地改良区など、全国各地で現地調査を行った。以下はその要約である。 1.(施設の高度化の事例)末端水路の維持管理を容易にする一つの方法は、1区画が5haを超える巨大区画水田整備の合意を集落で取りつけ、ほとんどの畦畔を除去し、末端用水路を管路化し、末端排水路を地中に埋設する、といった施設の高度化を図ることである。ただし、こうした施設の高度化は建設費用がかさむため、例えば、小用排水路を作らず、上位の支線用排水路から直接的に取水・排水するようにし、建設費を引き下げる必要がある。このような施設の高度化と建設費の削減を同時に達成するためには、圃場整備実施前に農地の利用集積と集積農地の集団化を推進し、集落の合意コストを低くしておくことが不可欠である。 2.(目的の多様化の事例)都市化された平坦部の農業集落では米価低迷による営農意欲の減退が著しい。こうした地域では、末端水路や畦畔の草刈りを少数の担い手農家による機械化(畦畔除草機)で対応する事例や、業者への外注で対応する事例などが増えている。一方、中山間地帯の農業集落では、農業公社や地域のリーダー的農家(例えば有機栽培志向の強い農家)が中心となって農地の利用集積を進め、都市農村交流の一環として体験型農業を実施し、農地の荒廃を防いでいる。しかし、こうした取り組みが進んでいない地域では、集落の合意コストが高く、このため個別的な農地転用などが行われている。
|