Research Abstract |
米の価格下落(8〜12年で約25%)と生産調整拡大(約38%)が与えた経営、営農、構造面への影響を統計的に把握すると稲作主業農家平均農業所得は,平成7年の392万円から12年の302万円へ23%へ減少した。規模別にみると,稲作単一経営の農業所得を7年と11年とを比較すると,1.5〜2.0haでは,48万円減,3〜5haでは95万円減,5〜10haでは189万円減,10〜15haでは298万円の減であり,大規模層程,価格下落による農業所得の減少が大きい。しかし,農業経営費を比較すると,1.5〜2.0haが117,3〜5haが112,5〜10haが103,10〜15haが94というらうに大規模層程,価格下落に対して経営の合理化によって規模拡大やコスト削減等の経営努力を行っている。一方,稲作経営安定対策の効果をみると,12年産の稲作主業農家の補填金は62蔓延であり,所得減の68.8%をカーバーしており価格下落への経営への影響緩和に一定の役割をはたしている。 しかし、北陸、東北、北海道での農家,法人等の実態調査によると,価格下落が単年度ではなく継続していることまた生産調整の拡大にともなう経営転換により,経営が不安定になっている例が少なくなく,とくに,設備投資(機械,施設等)の借入金の返済が困難になっている例が少なくない。また,生産調整の拡大の影響については、生産調整助成金の帰属(地主か耕作者)をみると,多くの地域では地主でありこう作者へ帰属する例があっても,助成金の一部であり,生産調整の拡大が大規模経営の経営改善につながっていない。とはいえ,生産調整の配分について大規模層へ軽減する例が広がっており,大規模層の育成を市町村単位で努力している。 水田農業を確立するためには,稲作経営安定対策では不十分であり,転作助成金は土地ではなく経営に視点をあてた総合的経営安定政策の確立が望まれる。
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