2002 Fiscal Year Annual Research Report
政策評価マトリックス(PEM)分析による農業政策の評価に関する計量経済学的研究
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13660229
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
小林 弘明 和光大学, 経済学部・経済学科, 助教授 (70329019)
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Keywords | 政策評価分析 / 農業保護政策 / 比較静学分析 / 食肉部門 / 作物部門 / 生産関数 / 代替弾力性 / 農産物貿易 |
Research Abstract |
OECDによるPEM分析モデルの適用として、食肉部門について、牛肉部門のみを分析した暫定的なモデルを改良し、価格関係式および下記の行動方程式よりなる比較静学モデルを開発した。 (1)生産物市場における(1)国内需要関数、(2)国際市場(日本以外)の需要関数、(3)国際市場の供給関数および(4)生産関数 (2)国内生産要素市場における(1)生産要素需要関数(生産関数をもとに経済理論的に定式化される)、(2)生産要素供給関数食肉は、牛肉、豚肉、鶏肉の3品目とし、牛肉については品質差を考慮して、和牛肉、国産乳用種牛肉、輸入牛肉を区別するsegmentationモデルとした。 (3)シミュレーションによりその経済効果を評価する政策としては、(1)実体的には関税による、市場価格支持、(2)和子牛に対する生産者補給金、(3)飼料価格支持、(4)投入財補助金、の4つとした。シミュレーション分析により、市場価格支持および投入財補助金との対比において、直接支払である生産者補給金が生産者の所得を支持する効果が高く、かつ消費者および納税者の費用負担と対比した効率性も高いことが示された。 平成14年3月31日開催の日本農業経済学会個別報告において報告した上記の内容について、『2003年度日本農業経済学会論文集』に投稿し、掲載された。 また、分析モデルにおいて環境指標を組み込む可能性を検討するための予備的な考察として、一般的な環境経済論における農業等資源の資源利用と環境的側面との関連について、主に既往研究のサーベーを行うことにより検討した。成果は本学紀要『和光経済』35巻2・3合併号および『東西南北2003』に掲載された。 さらに、分析のフレームワーク、近年における農業政策の動向等につき、関連研究者と数回にわたり、討議した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小林弘明: "わが国食肉部門の政策評価分析-OECDのPEM分析モデルの適用-"2002年度日本農業経済学会論文集. 282-287 (2002)
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[Publications] 小林弘明: "環境経済論の概要と学部での授業設計について"和光経済(和光大学経済学部). 35・1-2. 69-93 (2003)
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[Publications] 小林弘明: "貿易と環境-エビと木材の事例を中心に"東西南北2003(和光大学総合文化研究所). 36-45 (2003)