2001 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における農産物販売戦略としての電子商取引の活用に関する研究
Project/Area Number |
13660231
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
廣瀬 牧人 沖縄国際大学, 商経学部, 教授 (20279417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 友義 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70159151)
安里 肇 沖縄国際大学, 商経学部, 助教授 (90258682)
兪 炳強 沖縄国際大学, 商経学部, 教授 (80310069)
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Keywords | 農産物EC / マンゴー / 沖縄 / 島嶼性 / 市場遠隔性 / クリティカル・マス / GEMHP / ギリシャ |
Research Abstract |
沖縄農業はその気候条件のために、他地域で栽培できない作物、或いは、栽培不能な時期にある作物を栽培できるという優位性を有しており、花卉屋熱帯果樹は戦略的農産物として位置づけられている。しかし、沖縄農業は、その市場遠隔性と島嶼性による輸送の輻輳化と品質保持の困難等のため、市場における有利販売や産地展開が十分に行えない状況にある。本研究の目的は、このように、気候条件上優位性を有しながらも、その地理的特性のために有利販売や産地展開が困難な沖縄県産農産物に関し、情報通信技術の高度利用を基盤としたマーケティング・システムの構築のための基本要件について検討し提言することである。 本年度の研究成果は、以下の通りである。 第一に、沖縄県産マンゴーを対象に、沖縄県内生産者の販売の現状、日本国内の農産物ECの動向にっいて主に現地調査等で得られた知見を整理した。その結果、見いだされた課題等は次のとおりである。 1.沖縄県産マンゴー販売の情報化市場化に伴い、マンゴー生産者は、(1)市場での探索費用の軽減、(2)適時の数量確保に伴う収穫ピーク時の不利販売の軽減、(3)商物分離による品質の維持、等の経済的便益を享受することが可能である。 2.しかし、情報化市場を立ち上げるためには、既存の取引関係を内包し得るような措置を講じる必要があり、また、生産者段階でのIT化の促進を図る必要がある。 3.さらに、クリティカル・マスの形成を可能とするためには、品質管理や品質表示そしてクレーム処理等に関し、情報化市場参加生産者の上位に位置し一定の強制権限を持った中核的組織が必要である。 第二に、ギリシャに関わる文献調査の結果、得られた知見は次のとおりである。 1.ギリシャにおける養蜂製品の生産量は、国内需要を賄うに十分であるが、他の生産国からの価格競争に巻き込まれている。また、蜂蜜を例にとると、取引関係が極めて個別的であり生産変動に対応して柔軟に供給先をシフトさせることが困難であるとか、的確な品質情報が提供されておらず、同品質の製品であっても価格が異なる等の問題がある。 2.そこで、エレクトロニック・コマースを養蜂製品の取引に導入すれば、(1)取引費用の軽減、(2)市場変動への速やかな対応、(3)世界的な取引市場の展開、等の利点があることから、アテネ農業大学の研究者が中心となって、B to Cのエレクトロニック・コマースの実験事例として"Greek Electronic Mall of Hive Products"(GHMHP)が構想されている。 3.しかし、(1)市場における取引主体間の関係が伝統的且つ個別的であること、(2)情報機器や操作スキルの普及水準並びにネットワークの整備水準が不十分な状況にあること等から、エレクトロニック・コマースが実運用システムとして稼働している状況には至っていない。 第三に、収集した資料及び現地調査結果に基づき、国内における農産物の電子商取引に関わるデータ・ベースの構築に着手した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 廣瀬牧人, 兪炳強, 安里肇: "沖縄県産亜熱帯果実の販売戦略としての電子商取引の活用要件に関する研究"沖縄国際大学産業総合研究所『産業総合研究』. 第10号(印刷中). (2002)
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[Publications] 安里 肇: "Eコマースサイトのマーケティング戦略とブランド効果"沖縄国際大学産業総合研究所『産業総合研究調査報告書』. 第10号(印刷中). (2002)
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[Publications] 松田 友義: "卸売市場とIT利用"農林統計協会『農林統計調査』. 第52巻第2号. 26-32 (2001)