2003 Fiscal Year Annual Research Report
疎水性粘土による環境ホルモンの吸着機構の解明とそれに基づく移行拡散防止技術の開発
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13660244
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 雅也 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (90224782)
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Keywords | 環境ホルモン / 粘土 / インターカレーション / 電気化学的処理 / 粘土被服電極 |
Research Abstract |
本年度は研究機関の最終年度にあたり、粘土に吸着した環境ホルモンの電気化学的処理システムの検討を行うことを主な研究課題としていた。前年度までと同様に、実験では、環境ホルモンモデル物質として、多環式芳香族化合物であるピレンを用いた。前年度までに、ピレンが粘土に吸着されることがわかっていたので、さらにその詳細な吸着様式を知るため、ピレンを吸着させた粘土(モンモリロナイト)のエックス線回折を測定したところ、粘土層間が2Å広がり環式平面状分子であるピレンが粘土層間にインターカレーションしたことがわかった。ダイオキシンも平面分子であり、ピレン同様に、粘土層間にインターカレーションすることが十分予測できる。以上の結果より、粘土を用いることで、微量の難溶性物質を集積できる見込みがついた。 続いて、粘土修飾電極を用いたピレンの電気化学的処理の検討を行った。1MのKCl溶液(50%メタノール)にピレンを飽和になるまで溶解したものをサンプルとして用い、グラッシーカーボン(GC)電極を作用極として電解を試みた。未修飾のGC電極を用いた場合、ピレンの電解は困難であったが、モンモリロナイトを被覆したGC電極では、ピレンの電気的還元反応が進行していることが観測できた。 次に、実際の処理の場面を想定した、粘土分散系を用いて電解反応を行った。上記サンプル溶液に、モンモリロナイトを添加、沈殿したものを除き粘土分散サンプル溶液とした。上記と同じく電解を行ったところ、今度は、未修飾のGC電極においても大きな電気的還元波を観測できた。さらに、モンモリロナイト被服GC電極では未修飾のものよりも低電位でピレンの還元が可能であることがわかった。 以上より、3年にわたる本課題の目標としていた環境ホルモンの電気化学処理システムの原型が、本年度の研究で、ほぼ完成したと考えている。
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Research Products
(1 results)