Research Abstract |
1)籾の凍結温度と凍結障害 収穫後の乾燥過程において,水分が24%,22%,20%,18%,16%,14%の籾をそれぞれ採取した。それぞれの籾を試料とし,示差走査熱量計により冷却速度-0.1℃/min,-0.2℃/min,-0.5℃/minの3条件で凍結温度を測定した。凍結した試料と凍結していない試料について,氷結晶の有無を走査型電子顕微鏡で確認し,写真を撮影した。さらに各水分の籾を試料とし,温度が-80℃,-40℃,-30℃,-20℃,-10℃,0℃の6条件の恒温器に1日,1週間,1ヵ月,3ヵ月間それぞれ保存し,保存後に発芽率を測定し,凍結障害の有無を確認した。 以上の実験の結果,凍結温度(Y,℃)と籾水分(X,%w.b.135℃)との関係はY=3.4X-109.6の回帰式で表されることが分かった。また冷却保存後の籾の発芽率を測定した結果,水分が17.8%以下の籾は-80℃まで冷却しても発芽率は低下せず,凍結障害を受けないことが分かった。 2)籾の平衡水分 収穫後の籾を採取し,水分を22%および5%程度に調整した。この2種類の水分の籾を試料とし,温度が-20℃,-5℃,0℃,5℃の4条件,相対湿度が20%から80%までの7条件の組み合わせで,吸湿過程と失湿過程の平衡水分を測定する実験を開始した。相対湿度の設定には飽和塩溶液を利用した。特に氷点下での平衡水分の測定には一年以上かかると予想される。今後さらに実験を継続する。 3)籾の長期貯蔵 収穫乾燥後の籾を採取し,水分を16%,14%,12%に調整した。それぞれの水分の籾を-50℃,-20℃,-5℃,5℃,15℃,25℃の6条件の温度で2年間貯蔵する計画で実験を開始した。貯蔵開始時,2ヵ月後,4ヵ月後の品質測定をおこない,今後は6ヵ月後,9ヵ月後,1年後,1.5年後,2年後にそれぞれ米の品質を測定する計画である。
|