Research Abstract |
1)籾の平衡水分 収穫後の籾を採取し,水分を22%および5%程度に調整した。この2種類の水分の籾を試料とし,温度が-20℃,-5℃,0℃,5℃の4条件で,相対湿度が20%から80%までの7条件の組み合わせで,吸湿過程と失湿過程の平衡水分を測定する実験を開始した。相対湿度の設定には飽和塩溶液を利用した。この実験は籾の静的平衡水分を求める実験であり,籾水分が平衡状態に達するまでに長い時間が必要である。とくに氷点下の温度では籾の水分移動が極めて緩慢であり,現在のところ籾水分は平衡状態に達しておらず,実験を継続中である。 2)籾の長期貯蔵 収穫乾燥後の籾を採取し,水分を16%,14%,12%に調整した。それぞれの水分の籾を-50℃,-20℃,-5℃,5℃,15℃,25℃の6条件の温度で2年間貯蔵する計画で実験を開始した。貯蔵開始時,2ヵ月後,4ヵ月後,6ヵ月後,9ヵ月後,1年後の品質測定をおこなった。現在までの結果として,貯蔵温度25℃では発芽率が大きく低下し,脂肪酸度が増加し古米化が進んだ。一方,氷点下で貯蔵した籾は,発芽率率の低下や脂肪酸度の増加などの品質劣化は認められず,新米と同様な品質が保持されていた。すなわち,氷点下で米を貯蔵すると長期間にわたり米の品質を保持できる可能性が示唆された。今後は,1.5年後,2年後にそれぞれ米の品質を測定する計画である。
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