2003 Fiscal Year Annual Research Report
省エネルギー型日光温室の熱環境形成機構に関する研究
Project/Area Number |
13660261
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 智治 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (40015839)
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Keywords | 日光温室 / 省エネルギー / 熱環境予測モデル / 環境計測実験 / 温室構造 / 熱環境設計 |
Research Abstract |
日光温室は典型的な持続的省エネルギー型温室であり、在来技術に立脚したものであると同時に、将来的に有効な作物生産システムとして多くの研究課題を内包している。本研究は、現地における日光温室の熱環境に関する詳細な連続計測実験ならびに日光温室の非定常熱収支解析とそれに基づく熱環境予測数学モデルの開発を行い、日光温室の蓄熱・放熱機構を主とする熱的環境形成機構を解明し、これまで経験則に基づいて多種多様に存在する施設諸元を見直し、その設計指針の提出を意図しているものである。本年度は、非定常熱収支解析に基づく実用的な日光温室の熱環境予測モデルの開発と検証および本モデルによる施設構造諸元と熱環境形成に関するシミュレーションを行い、また前年度からの継続実験として現地の野菜栽培温室での詳細な長期観測を継続実施し、最後にこれまでの研究成果のとりまとめを行った。 1.日光温室の動的熱環境予測モデルの改良開発と検証 日光温室の構造解析と、昨年度までに開発した非定常熱移動解析に基づく動的熱的環境予測モデルを改良し、作物(キュウリ)栽培条件下の実用的な日光温室熱環境予測モデルの開発を行い、実測データとの検証を行った。IA(Index of Agreement)によりモデルの検証を行ったところ、室内気温についてのIAが0.97と良好な結果が得られた。 2.厳寒期の実際に野菜を栽培している日光温室における詳細連続観測の実施:中国東北部の瀋陽市にある日光温室の現場において、昨年から引き続いて、熱収支に関わる気象・構造要因の連続観測を行い解析した。無加温条件下でも夜間の室内気温は外気温より10℃以上高い温度を維持し、室温維持に対する温室各構造部位の働きはその表面積に大きく依存し、床面土壌と北壁からの放熱量が全体の90%を占めることが示された。 3.3カ年間の研究結果を「研究成果報告書」として取りまとめを行った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamagucni, T., Kuroyanagi, T., Chen, Q.: "Study on Thermal Environment of the Sunlight greenhouse (Part 1)"Journal of the Society of Agricultural Structures, Japan. 34・1. 31-37 (2003)
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[Publications] Yamagucni, T., Kuroyanagi, T., KANAI.G.: "Study on thermal environment of the sunlight greenhouse (Part 2)"Journal of the Society of Agricultural Structures, Japan. 34・1. 39-47 (2003)
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[Publications] 畔柳武司, 山口智治, 星 典宏, 趙淑梅, 李 天来, 須 暉: "省エネルギー型日光温室の熱環境形成機構に関する研究-慣行栽培条件下における熱環境特性-"2003年度農業施設学会大会講演要旨集. 14-15 (2003)