2001 Fiscal Year Annual Research Report
発酵乳中の抗酸化ペプチドの検索とその生成機構に関する研究
Project/Area Number |
13660274
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Research Institution | Kyushu Tokai University |
Principal Investigator |
井越 敬司 九州東海大学, 農学部, 教授 (80148973)
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Keywords | ペプチド / 発酵乳 / 抗酸化活性 / 機能性ペプチド |
Research Abstract |
L.bulgaricusIFO13953が生成する抗酸化ペプチドについて次のような研究成果を得た. 1、本菌の培養過程中における乳蛋白分解について調べた.乳蛋白カゼイン(以下カゼインをCNと略)は顕著な分解が認められなかったが,β-CNは分解されていた.また,同サンプル中の低分子ペプチドを高速液体クロマトグラフィーにより調べた結果,多数のペプチドピークを認め,そのうち27ピークについて明らかにした.明らかにされたペプチドの多くはβ-CN由来であった.また,αs2およびκ-CNからのペプチドも見出されたが,αs1-CN由来ペプチドは見出せなかった.β-CNペプチドはβ-CNの47-94および166-209の2箇所より得られた.また,κ-CNはパラκ-CN,αs2-CNはC末端側からそれぞれペプチドが見出された.これらペプチドの抗酸化活性を調べた結果,κ-CN(f96-106)に抗酸化活性を見出した. 2、抗酸化活性の見出されたκ-CN(f96-106)を消化酵素(ペプシン、トリプシン、キモトリプシン)により分解し,消化ペプチドの抗酸化活性について調べた.その結果,ペプシン消化物からは2種類(P1:ARHPHPHLSF, P2:ARHPHPHL),キモトリプシン消化物からは3種類(P3:ARHPHPH, P2:ARHPHPHL, P1:ARHPHPHLSF)そしてトリプシンからは1種類(P4:HPHPHLSFM)が得られた.これらペプチドの抗酸化活性を測定した結果,P1,P2およびP3は元のκ-CN(f96-106)と同程度の高い抗酸化活性が認められた.また、P4はκ-CN(f96-106)よりは低下したが同濃度のBHT(合成抗酸化剤)やカルノシン(ペプチド抗酸化剤)より高い抗酸化活性を有していた.従って,消化管内で消化酵素によって分解されても抗酸化活性能は維持しているものと考えられた.
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