2001 Fiscal Year Annual Research Report
筋肉・脂肪細胞系譜決定遺伝子の衛星細胞ゲノム導入によるウシ筋管内脂肪組織の創製
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13660291
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
丸山 公明 明治大学, 農学部, 教授 (80328971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾野 喜孝 佐賀大学, 農学部, 助教授 (00112318)
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Keywords | 筋肉細胞 / 骨格筋衛星細胞 / 細胞分化 / 多能性 / CEB / Pα / PPARγ / 成体幹細胞 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
本研究の目的は骨格筋衛星細胞の転写因子群による細胞系譜の転換を試み、その多能性を解析することである。第一年度の目標はウシの筋肉から骨格筋衛星細胞をウマ、ニワトリの衛星細胞と比較しながら分離し、シングルクローン細胞系統を確立することである。この目的のために、ウシの筋肉はつくば畜産草地研究所のホルスタイン牛、佐賀県肉牛生産者の黒毛和牛から採取したものを用いた。参考衛星細胞の分離には、日本中央競馬会のサラブレッド競走馬、日本生物科学研究所由来の鶏の筋肉を使用した。初代培養の衛星細胞は次の方法で分離した。筋肉組織を小さな破片に切断し、プロテアーゼとコラゲナーゼで酵素分解した後、種々の遠心力を用いて、衛星細胞を遠心分離した。このようにして得られた細胞は筋繊維の核と同程度のサイズであった。この衛星細胞はDMEM-FBS培地で培養すると通常3-7日で紡錘状の形態を取り、細胞分裂を始めた。初代培養で得られた細胞からクローナルカルチャーにてシングルセルクローンが分離され、個々のクローンの細胞タイプが決定された。多数のシングルセルクローンは繊維芽細胞であったが、ホルスタイン牛、和牛から10以上の筋肉細胞系クローン(骨格筋衛星細胞)が分離され、液体窒素内に冷凍保存されている。筋肉細胞系の分化マーカーとしては、デズミンとミオシン重鎖を用い、モノクローナル抗体を用いて、筋肉タンパク質の発現を探知した。ヘクスト蛍光染料を用いて核染色し、多核細胞であることも筋肉細胞分化の確認に用いた。 現在、次のステップとして、成体細胞における分化決定の柔軟性、多能性の存続を解析するために、脂肪細胞への系譜決定因子と考えられているCEB/PαとPPARγの遺伝子の導入を予定している。現在、SVプロモーターを持つCEB/PαとPPARγのDNAコンストラクトは準備できており、これらを含むレトロウイルスベクターの構築を進めている。前述遺伝子の導入による系譜転換実験の結果により、衛星細胞の成体幹細胞としての機能、細胞多能性の定義、そして、転写因子であるCEB/PαとPPARγの相互作用の解明を期待している。
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Research Products
(1 results)