2002 Fiscal Year Annual Research Report
消化管壁内神経細胞における容量性Ca流入機構の制御と機能的役割の解明
Project/Area Number |
13660292
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
太田 利男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (20176895)
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Keywords | 細胞内Ca濃度 / ATP / ブラジキニン / 壁内神経細胞 / イオンチャネル / パッチクランプ / タプシガルジン / 細胞内ストア |
Research Abstract |
本研究の目的は消化管機能を制御している壁内神経細胞における容量性Ca流入の性質と関与するチャネル分子機能を明らかにすることである。そのため、新生ラット小腸より単離培養した壁内神経細胞の細胞内Ca動態解析と容量性Ca流入チャネル蛋白質候補であるTRP5遺伝子を神経細胞に発現させ機能解析を行い、以下の成績を得た。 1)Ca蛍光指示薬を負荷した壁内神経細胞は高濃度K及びニコチンにより細胞内Ca濃度([Ca2+]I)上昇が生じた。2)ATPは濃度依存性に[Ca2+]Iを増加させ、同時に膜電位固定した細胞では内向き陽イオン電流が発生した。3)ATP及びP2Y作動薬UTPは細胞外Ca非存在下でも細胞内ストアの刺激による一過性[Ca2+]I増加を引き起こした。4)外液Ca非存在下でATP或いはストア枯渇薬タプシガルジン適用後、細胞外へCaを再導入すると持続的なCa増加が生じ、この反応は容量性Ca流入阻害薬のLa、Ni、SK&F96365により抑制された。5)ATPによる[Ca2+]I増加の大部分は薬理学的性質(作動薬、遮断薬、2価イオン感受性)、PCR解析及び免疫組織化学的検索からイオンチャネル型P2x2受容体を介することが明らかになった。6)TRP5発現細胞では自発的チャネル活性の増加により、非刺激時の[Ca2+]Iはmock細胞群に比べて有意に高かった。7)TRP5発現群ではブラジキニン、UTPによる[Ca2+]I増加は有意な高値を示し、TRP5がGTP結合型受容体と関連したイオンチャネルを形成する可能性が示された。8)RT-PCRによる遺伝子解析の結果、壁内神経細胞ではTRP蛋白質のうち1、3,4,6タイプが発現していることが分かった。 本研究により壁内神経細胞において容量性Ca流入機構が存在すること、この機構は神経伝達物質であるATPにより活性化されることが明らかになったが、チャネル分子の同定には至らなかった。今後はTRP5以外の他のサブタイプ蛋白質チャネルの発現による機能解析やアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた変異導入細胞を用いる等の更なる研究が必要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yonekubo K.: "Inhibitory effects of cortical steroids and adrenocorticotropic hormone oncatecholamine secretion n perfused guinea-pig adrenal glands"Autonomic & Autacoid Pharmacology. 22. 93-101 (2002)
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[Publications] Ohta T.: "Functional relation between caffeine-and muscarine-sensitive Ca2+stores and no Ca2+ releasing action of cyclic adenosine diphosphate-ribose in guinea-pig adrenal chromaffin cells"Neuroscience Letters. 326. 167-170 (2002)
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[Publications] Kitamura G.: "Inhibitory effects of opioids on voltage-dependent Ca2+ channels and catecholamine secretion in cultured porcine adrenal chromaffin cells"Brain Research. 942. 11-22 (2002)
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[Publications] Ohta T: "Relaxant mechanisms of parathyroid hormone in rat mesenteric artery"J Cardiovasc Pharmacol. 40. 554-563 (2002)