2003 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間コミュニケーションによる卵巣の機能統合-アネキシン5を介する機能発現-
Project/Area Number |
13660306
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
橋本 祷 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (30050503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00153007)
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Keywords | 偽妊娠 / GnRH / 黄体 / プロラクチン / アネキシン5 / 細胞間コミュニケーション / プロジェステロン |
Research Abstract |
卵巣では卵胞の発育、排卵、黄体形成の過程が規則正しく周期的に繰り返される。従って、成熟動物の卵巣内には、各生育段階の卵胞や黄体が混在する。卵胞発育、排卵、黄体形成、黄体機能の維持は、下垂体のゴナドトロピンやプロラクチンによって調節されるが、卵巣内の様々な構成要素(例:大卵胞と小卵胞)が、下垂体ホルモンに対して、異なる反応をするに至る機序はよく分かっていない。本研究ではアネキシン5が、卵巣局所における細胞間コミュニケーションを介して、排卵と黄体機能を始めとする、卵巣の機能統合に働く新規の機能分子である可能性を明らかにすることを目指している。本年度の成果を要約する。 1.黄体のアネキシン5発現とアポトーシス ラットの黄体相である偽妊娠、黄体刺激ホルモンであるプロラクチン分泌を抑制すると黄体細胞にアポトーシスが誘導される。この時、アポトーシスの誘導された黄体でアネキシン5の増加することを明らかにした。アポトーシスの指標となるTUNEL染色で陽性となる細胞の分布とアネキシン5の免疫染色で陽性になる細胞の分布が、黄体内で完全に一致した。 2.GnRHの関与 プロラクチン分泌抑制によるアネキシン5発現の増加とアポトーシスの誘導は、卵巣局所にGnRH受容体拮抗薬を投与することで完全に阻止された。プロラクチン分泌抑制時にプロジェステロンを投与してもアネキシン5発現とアポトーシス誘導に影響しないことから、プロラクチンは黄体細胞に直接作用してGnRHの作用を抑制すると考えられた。また、偽妊娠動物の卵巣嚢にGnRHを微量局所投与することによって、アネキシン5発現とアポトーシスが誘導されたことから、機能黄体はGnRHに対する感受性を持続していることが示された。 本年度の研究成果は、大きく以上の2点に要約される。卵巣局所の細胞間コミュニケーションと、それを下垂体ホルモンであるプロラクチンが調節することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)