2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟骨形成不全症(ocd/ocd)ラットの病因遺伝子探索と胎生期病態発生の解析
Project/Area Number |
13660309
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
鈴木 勝士 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 教授 (00125080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 浩悦 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 講師 (50277662)
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Keywords | 骨軟骨形成不全 / 連鎖解析 / 先天異常 / ラット |
Research Abstract |
骨軟骨形成不全症ラットの病因遺伝子(ocd)は、ラット第11染色体上に存在している。本研究は、ocd遺伝子座周辺の詳細なマップを作成し原因遺伝子同定を目指すと共に、この過程で得られた近傍マーカーにより、胎生期の遺伝子型判定を行い、本症の病態発生を解析することを目的としている。昨年度は、系統内の約300匹の発症動物を用いて、ラットのドラフト配列を参考にしてocd遺伝子座周辺で多型を示す新たなマイクロサテライトマーカーを作成し、ocdの存在領域を約300kbに特定し、そこに3個の候補遺伝子が存在していることを確認した。また、胎生期の病態解析では、ヘテロ同士の交配で得られた胎生16.5日以降の胎仔をサンプリングした。本年度はまず、胎仔の大腿部からRNAを抽出し、RT-PCR法により、候補遺伝子の発現の有無を調査した。いずれの遺伝子も正常仔の大腿部で発現しており、ocd/ocdにおいても発現が見られた。このことは3つの候補遺伝子に関してocd/ocdで大きな欠失は見られず、変異があったとしても、塩基置換などのわずかな変異であることを示唆している。このため、今後、この領域のゲノムDNAに対して、大幅なシーケンスを行い、突然変異の探査を行う必要がある。胎生期の病態解析に関しては、胎齢16.5〜21.5日のocd/ocdと同復仔正常個体を各胎齢でサンプリングし、近傍マーカーで遺伝子型を判定し、外貌観察、骨格標本の作成、大腿骨部の組織学的観察を行った。発症個体は16.5日で体重の有意な低下を示したが、体躯、四肢、尾などの短縮はより胎生後期で顕著となった。全身の軟骨の形成は16.5日ですでに明らかな低形成を示し、18.5日以降では逆に、後肢や肋骨において骨化の亢進を示した。頸椎の椎体および椎弓での癒合、肋骨の癒合と低形成、胸椎の椎骨における骨化中心の二分化、関節における異所性軟骨の形成などの形態学的な異常を示した。組織観察では、軟骨基質の合成および沈着が発症では明らかに遅延しており、軟骨原基の形成自体が障害されている可能性が示唆された。以上の結果から、ocd/ocdの異常は胎齢16.5日においてすでに開始しており、今後、より胎齢早期の軟骨原基の形成過程などの調査が必要と考えられた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Cupp AS, Uzumcu M, Suzuki H, et al.: "Effect of transient embryonic in vivo exposure to the endocrine disruptor methoxychlor on embryonic and postnatal testis development."Journal of Andrology. 24(5). 736-745 (2003)
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[Publications] Suzuki H, Yagi M, Saito K, Suzuki K: "Dysplastic development of seminiferous tubules and interstitial tissue in rat hypogonadic hgn/hgn testes."Biology of Reproduction. 71(1)(In press). (2004)
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[Publications] Suzuki H, Nakamiya E, Daigo K, Saito K, Suzuki K: "Fine mapping of the region including hypogonadism (hgn) locus on rat chromosome10."Journal of Veterinary Medical Science. (In press). (2004)
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[Publications] 鈴木勝士: "獣医学領域の遺伝性疾患(II)"Small Animal Clinic. 130. 13-18 (2003)
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[Publications] 鈴木勝士, 他23名: "一色賢司、豊田正武、西島基弘編集、食品の安全性評価と確認(分担、第4章 残留農薬の安全性確認と実用的評価法)"ソフトサイエンス. 87-98 (2003)