2002 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠動物の体液中エストロンサルフェート濃度による胎子成熟度の判定
Project/Area Number |
13660320
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浜名 克己 鹿児島大学, 農学部, 教授 (30011977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 俊一 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90233949)
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Keywords | エストロンサルフェート / EIA / 妊娠診断 / 血液中濃度 / 糞中濃度 / 尿中濃度 / 乳中濃度 |
Research Abstract |
牛やウマの妊娠診断において、胎盤性ホルモンである血中エストロンサルフェート(OS)濃度を測定し、また検査材料として材料採取が容易な乳汁や、尿、糞中濃度もあわせて測定した。 供試動物として、牛とウマを用い、OS濃度の測定では、マウスモノクローナル抗体を用いたマイクロプレートによるEIAを確立し、同時に血液中プロジェステロン(P_4)濃度を測定した。 その結果、妊娠牛では血中OS濃度が妊娠140日以降で1.1ng/mlとなり、非妊娠牛(0.36ng/ml)より有意に高くなった。乳中OS濃度は妊娠100日以降で236pg/mlとなり、非妊娠牛(14pg/ml)より有意に高くなった。血中P_4濃度は授精後、妊娠黄体の形成とともに増加し(>10ng/ml)、分娩後急速に1.0ng/ml以下に減少した。 牛の糞中OS濃度は血中OS濃度と高い相関を示し、妊娠牛では74〜6,500ng/gと高く、特に妊娠末期の1.5ヶ月に急増した。糞中OS濃度と胎盤停滞の関連では、正常群で妊娠270日に2,300ng/mlと胎盤停滞群947ng/gより高く、胎盤の成熟度との関連が示唆された。糞中OS濃度と新生子牛の体型では、妊娠末期の糞中OS濃度と新生子牛の鼻頭尾長および胸囲について正の相関関係がえられた。 尿中OS濃度は尿中クレアチニン濃度により補正し、測定した。その結果、ウマの尿中OS濃度は、交配前(0.16μg/mgcre)に比べ、妊娠2ヶ月(0.46μg/mgcre)から有意に高くなった。また、血中OS濃度は交配前(20ng/ml)に比べ、妊娠1ヶ月(32ng/ml)から有意に高くなったが、血中P4濃度では妊娠ウマと交配前のウマに有意差は得られなかった。 今回、牛とウマの妊娠診断において、体液中のOS濃度をEIAにより測定したところ、妊娠家畜では非妊娠や交配前に比べ有意に高くなった。検査材料として、血液だけでなく、材料採取が容易な乳汁や、糞、尿中OS濃度の測定も可能であり、牛で妊娠100日、ウマで妊娠2ヶ月より高くなることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 上村俊一: "発情周期の異なる時期における過剰排卵処置が超音波診断による卵胞発育と卵巣摘出による卵胞評価に与える影響"鹿児島大学農学部学術報告. 51. 29-36 (2001)
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[Publications] 木之下明弘: "乳牛における栄養充足率の違いが卵胞の発育動態に及ぼす影響"日本畜産学会報. 72・7. J20-J27 (2001)
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[Publications] 中村優子: "南九州における雌ウマの血中性ステロイド濃度と卵胞組織の季節的変動"日本畜産学会報. 73・3. 389-396 (2002)
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[Publications] Kamimura S: "Effect of bovine somatotropin on ovarian function and pregnancy in non-lactating diary cows"Journal of Dairy Science. 85・Sup1. 262-263 (2002)
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[Publications] Thatcher WW: "Regulation of embryo survival in cattle"Reproduction. 61. (2003)
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[Publications] 及川知香: "妊娠ウマの尿中および血中エストロンサルフェート濃度の推移"日本獣医師会誌. 56. (2003)
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[Publications] 上村俊一: "新編 獣医診療指針「異常分娩の介助と新生子への処置」"生物研究社(印刷中、未定). (2003)