2001 Fiscal Year Annual Research Report
腸炎ビブリオの分布の中心を汽水域に限定している生態学的機構
Project/Area Number |
13660321
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
熊澤 教眞 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (00039926)
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Keywords | デロビブリオ / 腸炎ビブリオ / 漁港 / 汽水域 |
Research Abstract |
渡久地漁港(沖縄県本部町)、室津漁港(高知県室戸市)、松ヶ崎漁港(三重県松阪市)、三渡川汽水域(三重県松阪市)で定期的に水を採取し、デロビブリオの菌数を測定している。これまでの結果、渡久地漁港では2001年11月に10^3/1のデロビブリオと腸炎ビブリオが検出されたが、冬期には両菌種とも検出されなくなった。室津漁港では8〜11月に10^4〜10^5/1のデロビブリオ、11月に10^4/1の腸炎ビブリオが検出された。松ヶ崎漁港では12月に10^5/1のデロビブリオと10^3/1の腸炎ビブリオが検出されたが、2002年1月には両菌種ともに検出されなかった。三渡川汽水域でも12月には10^5/1のデロビブリオが検出されたが、1月には検出されなかった。腸炎ビブリオは12〜1月には検出されなかった。渡久地漁港は満名川の河口にあるが、満名川は汽水域が短く、腸炎ビブリオが蓄積しにくい環境条件にあることから、腸炎ビブリオを宿主とするデロビブリオの菌数も高濃度にはなりえないと考えられる。室津漁港の付近には腸炎ビブリオが蓄積しうる汽水域の長い川がないので、腸炎ビブリオを宿主とするデロビブリオが高濃度に検出される理由が明らかでない。三渡川では高濃度のTDH産生菌が検出されているので、三渡川の河口に位置する松ヶ崎漁港でデロビブリオが高濃度に検出されるのは説明できる。三渡川汽水域で検出されたデロビブリオは、満潮時に海水とともに流入したと考えられる。しかし、干潮時にも高濃度のデロビブリオが検出できるか否かについては、今後検討すべきである。腸炎ビブリオとデロビブリオの菌数の季節的変動については、調査を続行中である。
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