バクテリアセルロースを用いた天然セルロースの溶解挙動に関する研究

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13660337
• Research Institution: Fukui National College of Technology
• Principal Investigator: 山本 裕之 福井工業高等専門学校, 一般科目教室, 助教授 (00158304)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 堀井 文敬 京都大学, 化学研究所, 教授 (70124758)
• Keywords: バクテリアセルロース / 溶解性 / 水酸化ナトリウム水溶液 / 高温熱処理 / 天然セルロース

Research Abstract

本研究はバクテリアセルロースの特徴である超微細な繊維を用いることにより、一般的な溶媒である水酸化ナトリウム水溶液での溶解の可能性と、その溶解挙動を分子鎖レベルで解明することを目的としている。今年度は水酸化ナトリウム水溶液の濃度と熱処理温度に対するバクテリアセルロースの溶解性について検討した。
実験は常法で精製したバクテリアセルロースを4%から8%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬(セルロース濃度、2g/d1)後、ガラス試験管に封入し、オートクレーブ中にて260℃から320℃の温度で30分間熱処理して行った。
4%および6%水酸化ナトリウム水溶液中260℃から320℃のいずれの熱処理温度においてもバクテリアセルロースは細かく分散した状態になるが、ほとんど溶解しないことがわかった。一方、8%水酸化ナトリウム中では260℃から320℃のいずれの処理温度においてもガラス試験管は著しく浸食され、ひび割れが生じたが、セルロースは溶解した。この溶解液を塩酸で中和後、白色の沈殿が生成した。しかし、この沈殿を分析した結果、ガラスの溶解物であり、セルロースは加水分解していることが明らかとなった。そこで、テフロン製試験管およびステンレス製試験管を用いて、同様の実験を試みた。テフロン製試験管は200℃以上の温度では変形し、使用できなかった。一方、ステンレス試験管中では4%水酸化ナトリウム中240℃でもセルロースは分解した。しかし、220℃では溶解、分解が生じなかった。今後、ガラス試験管とステンレス試験管の反応容器よる影響および220℃から240℃の熱処理範囲でさらに詳細にバクテリアセルロースのアルカリ溶解性を検討する。