2001 Fiscal Year Annual Research Report
有害微生物のDNA検出のための新規ジンクフィンガー蛋白質の創出
Project/Area Number |
13660339
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
池袋 一典 東京農工大学, 工学部, 助教授 (70251494)
|
Keywords | ジンクフィンガー / 有害微生物検出 / PCR / 分子進化工学 / 2本鎖DNA検出 / ファージディスプレイ / 遺伝的アルゴリズム |
Research Abstract |
大腸菌O157やサルモネラなどによる食中毒は多発しており、これらの有害微生物を迅速に検出する手段の確立が熱望されている。有害微生物はごく少数でも食中毒を引き起こすことができるので極めて高感度な測定が必要であるが、その為には数十分で目的のDNAを百万倍以上に増幅できるPCRと組み合わせることが必要不可欠である。しかしPCR産物は2本鎖であり短いDNAプローブはハイブリダイゼーションしにくい。そこで2本鎖DNAの特異的塩基配列を認識するジンクフィンガー蛋白質に着目した。ジンクフィンガー蛋白質は直接PCR産物を2本鎖のままで認識するので極めて迅速な測定が可能になる。そこで初年度はファージディスプレイによりジンクフィンガー蛋白質を発現させ、これで目的の配列を認識できるか確認することを目的として研究を行った。 実験のモデルとしてマウスのZif268を選びこれをcDNAからクローニングしてM13ファージのファージミドpCANTABに組み込むことにより、M13ファージのgIII蛋白質に提示させた。ELISAによりこのZif268提示ファージ(Zif-M)とZif268の認識配列GCGTGGGCGをもつ合成2本DNAとの結合能を確認したところ、強い結合が確認されM13ファージに提示してもZif268は2本鎖DNAの認識能を失わないことが確認された。更にジンクフィンガーモチーフのαヘリックス部分にランダムな変異を入れたところ結合能は激減し、αヘリックス部分はZif268の2本鎖DNA認識に極めて重要な役割を果たしていることが確認された。更に認識配列を1塩基だけ改変した2本鎖DNAを合成し、Zif-Mの配列を遺伝的アルゴリズムを用いて改変させて分子認識能の改変を試みたが、αヘリックスを壊すような変異はすべて認識能の低下を引き起こした。従って遺伝的アルゴリズムを適用する際のアミノ酸の変異に一定の制限を設ける必要があることが再認識された。
|