2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13670006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
井関 尚一 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50167251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若山 友彦 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70305100)
天野 修 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60193025)
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Keywords | 熱ショック蛋白質 / 顎下腺 / 生後発達 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
低分子量熱ショック蛋白質(Hsp27)は細胞の増殖、分化やアポトーシスにおいて重要な役割を果たすことが知られてきている。齧歯類の顎下腺では生後発達の過程で腺房細胞の大規模な増殖と分化が起こる。そこで生後各年齢のラット顎下腺におけるHsp25の発現と局在を免疫組織化学的に解析した。生後2週ではHsp27免疫活性は顎下腺全体に分布した。3週では免疫活性は大部分の腺房と導管の細胞から消失したが、腺房中心部において強い免疫活性の局在が見られた。この免疫陽性細胞の大部分は、腺房細胞の前駆細胞である終末導管(TT)細胞(I型細胞)であった。4週になると、腺房中心部のHsp27免疫陽性細胞は数が減少し、またその細胞種も主に未熟腺房細胞(II型細胞)に変わった。免疫陽性細胞の一部は分泌顆粒を持つ未熟な介在部導管(ID)細胞であり、またわずかながらアポトーシス細胞も含まれていた。5週以降になると腺房はすべて成熟腺房細胞で占められ、Hsp27免疫活性は消失した。3週のラットにイソプロテノールを7日間投与して成熟腺房細胞への分化を促進させたところ、4週での免疫陽性細胞の数は有意に減少し、成熟腺房細胞においてHsp27の発現が下方制御されていることがわかった。これらの結果から、ラット顎下腺の生後発達において3週〜4週でTT細胞が増殖を停止して腺房細胞および介在部導管細胞への分化を開始すること、また一部の細胞はアポトーシスに陥ることが示唆された。Hsp27はこの細胞分化における決定的な時期において腺房中心部のTT細胞に一過性に発現し、その分化に何らかの役割を果たすことが考えられる。
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Research Products
(1 results)