2001 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ心臓洞房結節細胞のペースメーカー電流に関する研究
Project/Area Number |
13670034
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
尾野 恭一 秋田大学, 医学部, 助教授 (70185635)
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Keywords | 洞房結節細胞 / 自動能 / イオンチャネル / シミュレーション / リスペリドン / 活動電位 / カリウムチャネル / ラット |
Research Abstract |
本年度は、主として下記の3項目について研究をおこなった。 1.背景カリウム電流の同定 洞房結節細胞の背景K^+電流同定の準備としてラット心房筋細胞より背景K^+電流を記録し、その薬理学特性について検討した。その結果、ラット心房筋細胞のK^+電流は分子生物学的に同定されている4回膜貫通型K^+チャネル(TASK)に類似しており、TASKが背景K^+電流として機能している可能性が示唆された。ブタ洞房結節細胞の活動電位はモルモットやウサギに比べてプラトー相が長く、このことが心拍数の種差を決定する一つの要因と考えている。この電流系について洞房結節細胞での検討をおこなっている。 2.ペースメーカシミュレーションモデルの開発 京都大学の野間昭典教授らが開発した心筋細胞のシミュレーションモデルを改良し、現在公開準備中である。本モデルは心室筋細胞および洞房結節細胞のイオンチャネルやトランスポーター、細胞内Ca貯蔵部位のCaダイナミクスについて実験的に得られたデータをほぼ忠実に組み込んだ、いわゆる"Virtual Cell"である。洞房結節の興奮性は実験データの最も多いウサギ標本のものが用いられており、その自発活動を再現している。 さらに本モデルをブタ洞房結節細胞へ応用し、心拍数の種差を決める要因について検討中である。 3.リスペリドンのQT延長作用の解析 中枢抑制薬リスペリドンがQT延長を引き起こすメカニズムについてモルモット心室筋細胞を用いて検討した。その結果、リスペリドンは急速活性型遅延整流K電流を選択的に抑制することにより心室筋細胞の活動電位を延長させることが明らかとなった。本実験結果については現在論文執筆中である。
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