2002 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス因子の分子ターゲットとしての細胞防御塩素イオンチャネル
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13670038
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 富山医科薬科大学, 薬学部, 助教授 (60242509)
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Keywords | 活性酸素 / 塩素イオン / 胃酸分泌細胞 / イオンチャネル / 活性酸素 / Rho / CLC / インターロイキン |
Research Abstract |
本研究では、胃酸分泌細胞の塩素イオンチャネルの研究を、電気生理学的、生化学的、分子生理学的アプローチにより行い、以下のような興味深い新規知見を得た。 1.活性酸素感受性蛍光色素(H_2FDA)をロードした、ウサギ胃酸分泌細胞において、インターロイキン-1β(IL-1β)は、細胞内活性酸素産生を顕著に増大させることを見出した。この上昇は、抗IL-1β抗体およびリコンビナントIL-1リセプターアンタゴニストにより消失した。また、Rho-kinase特異的阻害剤のY-27632は、IL-1βによる活性酸素産生を抑制した。ホールセルパッチクランプ法により、胃酸分泌細胞の細胞防御塩素イオンチャネルの活性に対する、IL-1βの抑制効果は、抗IL-1β抗体、IL-1リセプターアンタゴニスト、Y-27632により消失することを見出した。これまでにIL-1βによる塩素イオンチャネル活性の阻害効果の報告例は他の組織や細胞においてもなかった。ヘリコバクターピロリ菌を介して産生されるIL-1βが、細胞防御塩素イオンチャネルを抑制する機構には、Rho kinaseを介した酸化的ストレスの増大が関与しており、IL-1βによる細胞障害とチャネル抑制とが密接に関連しているものと考えられた。 2.ブタおよびウサギ胃から調製した胃細管小胞において、特異的抗体を用いた免疫沈降による実験から、CLC-5塩素イオンチャネルが、H^+,K^+-ATPaseと分子会合していることを突き止めた。CLC-5は、細管小胞の分泌膜への融合機構に関与しているものと考えられ、ポンプとイオンチャネルが共役した胃酸分泌細胞における新規メカニズムである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hideki Sakai, Tomoyuki Suzuki, Miki Murota, et al.: "Nitric oxide-induced Cl^-secretion in isolated rat colon is mediated by the release of thromboxane A_2"Journal of Physiology (London). 543巻1号. 261-271 (2002)
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[Publications] Hideki_Sakai, Tomoyuki Suzuki, Miki Murota, et al.: "E3040 sulphate, a novel thromboxane synthase inhibitor, blocks the Cl^-secretion induced by platelet-activating factor in isolated rat colon"British Journal of Pharmacology. 136巻3号. 383-390 (2002)
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[Publications] Hideki Sakai, Katsuhito Hori, Noriaki Takeguchi: "Expression of several Cl^-channels in rabbit gastric parietal cells"Journal of Physiology (London). 539巻. 17 (2002)
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[Publications] Yuji Takahashi, Hideki Sakai, Mutsuko Kuragari, et al.: "Expression of ATP1AL1, a non-gastric proton pump, in human colorectum"Japanese Journal of Physiology. 52巻3号. 317-321 (2002)